11月26日、大阪産業創造館の「中国ビジネスに求められる人材の育成と大学の役割 」というセミナーを聴きに行ってきました。
これが、予想に反してというかめちゃくちゃ面白かったのです。
前半は同済大学、立命館大学それぞれの副学長による、上海経済および日本の大学教育に関する講演、
後半は中国側4人、日本側3人によるパネルディスカッションの予定でした。
で、時間の関係で後半は7人それぞれの15分程度の講演と聴衆からの質疑応答、ということになったのですが、この7人の講演がめちゃくちゃ面白かった!!!!このような自治体が主催するセミナーの中ではぴか一でした。もちろん、モデレータの澤田初美氏(立命館大学大学院教授)のアレンジが秀逸だったこともありますが
それぞれの講演が有機的に結びついてすばらしい時間を過ごせました。
なかでも特に興味深かった講演についてちょっとご紹介させていただきます。
趙晋平氏 中国国務院発展研究センター対外経済研究部副部長
この人は政府系シンクタンクの研究員ということで基本的には楽観的な分析が多く、
見ていて楽しめました。一番懸念されている「オリンピック後のバブル崩壊」ですが、
建設ラッシュはこの時点でピークを超えており、急激な冷え込みは予想されないとのことでした。
あと、やはり中国経済にとっては今後環境保護の問題が大きなウエイトを占めていくであろう、ということも感じることができました。
孫立堅氏 復旦大学経済学院副院長、同済大学アジア太平洋センター兼任教授
この人の講演はめっちゃ面白かった。で、この講演を聴いて分かったことは「私って『富』が好きなんだわ」ということです(本筋とは関係ありませんが)。端的に言えば「東アジア人がこつこつためてる貯金がロンドンやニューヨークで運用されて、そこの人たちに価値を規定されている」という分析でした。日本政府の低金利政策に対する批判的分析もあり「なるほど」と納得しました。私は経済に詳しくないのですが、現在の低金利政策は「製造大国」に対する固執のあらわれであり、もっと「金融大国」に向かって舵を切るべきだ、という主張には説得力がありました。
此本臣吾氏 ㈱野村総研執行役員
この人の講演のポイントは「少子高齢化」が日本経済に与える影響でした。証券会社系の研究者らしく
どの分野にどんな影響が出るかを豊富なデータを使って大変分かりやすく分析しておられました。
私からしたら意外なものが少子化によって売り上げを伸ばし、意外なものが売り上げを減少させていく・・・
という分析と、その結論を導き出すデータには軽く感動しました。著作も読んでみようと思います。
尚捷氏 ㈱インフォデリバー代表取締役社長
BPO(ビジネスアウトソーシング)会社の若き社長。在学中に起業し、大連に事務センターを立ち上げて、
大手企業の事務を請け負っているとのこと。若いのに地道なデータ開示とユーモア溢れる語り口で
15分があっという間でした。それにしても、海外への事務のアウトソーシング業界はすごい。もう、国境とか
国籍とか関係ない時代が来ているのかもしれません。
思い出すまま書きましたが、惜しかったのはレジュメが配られなかったため、今、見直すことができないこと。
悔しかったのは、私自身の知識がないためにせっかくの内容を消化し切れなかったこと。
ちょっと勉強してみよう・・・と思いました。いつまでも「コトバ」馬鹿ではいかん、と実感。
年明けの同済大学のセミナーにも行く予定なのですが、今から楽しみです。