水色長屋

雨ちゃんは言った

 「雨の日は昼寝をせよ」


雨ちゃんは確かに言った

 「雨の日は昼寝をせよ」と


夏が終わり

秋の気配は

雨ちゃんのイタズラの終わり


ミンミンゼミの緑の原の

緑の稲の葉を

ざわめかせる風は

君の落とした麦わら帽子を

遠くへ運ぶ


小学校からお寺へ向かう

白い土道を走り

それを探す

それを探す

それという名の

君を探す


ああ雨だ


雨ちゃんの言う通り

秋が来る

こんな日はやはり昼寝をしよう


雨ちゃんの言う通り

「雨の日は昼寝をせよ」

雨ちゃんの言う通りだ!!














水色長屋


曇りケムリの雨空の

彼方に浮かぶ

日暮れ海

黙して過ぎるは夏の風

赤信号でつかまえて





根室本線利別駅から

利別国道242号線を北に行く

広い空の下で

僕は僕の影を踏みながら

あの夏の日を思い出す







水色長屋

走りし砂利の流れ星

クマのプーさんカニパンかじり


あれは去年の今頃か

新幹線のホームの陰の

続く砂利道土砂降りの


白いハンカチ

白紙の葉書

携帯電話の呼び出し音は


砂利ふみ雨ふり

からまわり








以前より気になっていた疑問が解決した

フェルメールの絵に登場する『青』の正体…


どうもこの青が気になって仕方なかった

フェルメールの絵を見た者は

この青の美しさに釘付けとなり


この青を纏う空間や人物に好意的にならざるを得ない


どうやらこの青い顔料は

アフガニスタン産のラピスラズリを原料とする

天然ウルトラマリンであるらしい


元々のウルトラマリンは灰色がかってくすんだ色だが

15世紀頃には

かなり面倒な工程を経て透明度の高い青を抽出することが出来たという

フェルメールが活躍した17世紀にはとても高価な材で画家たちは

めったアクアマリンを使うことが出来なかった

その貴重な絵の具を意を決して使うには

画家にも相当な覚悟があったであろう


長い時を経てなを

輝き続ける作品には深い理由があるのだと思う








ゆっくり

いそがないで


ゆっくり

あせらないで


かたつむりのように

のらねこのように

ゆっくりいきましょう


にんげんはほんとうは

そんないきものだから

街の空き地



空き地は凄い

何しろ空いているのだから凄い


その魅力ともいうべきものは

その形状と状態とそこから見える空

そして

その空き地に隣接するもの達によって決まる


例えばその空き地に

三軒の民家が隣接するならば

三軒の民家の持つ様々な魅力が

その空き地にも

落とし込まれている事になる


空き地は

ただの広場ではない

果てしなく広大な可能性の詰まった

柔らかな塊なのだ


それは一見

重い鉛の如き場所に見え

実はちょっとでも意地悪をすると

キュウっと悲しい声を上げて涙を流す

実に傷つき易い奴なのだ




   おちあいくんちのハム入りカレー


   しげるちゃんちのブドウ柿

 

   樫の高垣 白い道


   ばあちゃん揚げ餅 醤油の香り


   空き地で舞うヒョー 砂ぼこり


   天まで届く缶蹴り ポーン!









何も心配ないよ

何とかなるから


この世の出来事は

全て何とかなるのだから


そうやって

何とかなりながら歴史は続いてきた


何も心配いらない

だから

安心していいんだよ


何も心配いらない

何も心配いらないよ





水色長屋



アルミホイルロールに

映る景色が

もし本物の風景ならば

こんなに眩しくは無いだろう


アルミホイルロールに

もし

かどや旅館の客室が映っていたら

それは五月の

源泉掛け流しの風景かも知れない


アルミホイルロールに

映る景色を見学して

灰皿に注いだほうじ茶をすすって

蘭の花を食べて

座椅子に座って

畳で滑って

体勢を立て直して

もし疲れたら


源泉掛け流し

アルミホイルの湯船に

首まで浸かって

源泉掛け流し

アルミホイルの反射光線の

煌めく湯船に身を沈め


アルミホイルロールの街へ

旅立とう