先日、配信で映画『ローズマリーの赤ちゃん』を観た。

子供の頃、怖いから観たくないと思いながらも、テレビで親が観ているのをチラ見していた。

記憶にある映像はおぼろだし、ストーリーもまったく覚えていなかった。

 

今回、観る前にあらすじを読んだが、古い記憶は全然喚起されない。

まあ、とにかく観てみようと、再生を始めた。

 

――最後まで観ての感想は、全然怖くなかった、だ。

そして、「ああ、そうだ。この場面が怖かったんだ」というようなシーンにも遭遇せず、あのころの私の“怯え”はなんだったんだ? と首をひねってしまった。

 

もしかしたら、他の恐怖映画と間違えているのかもしれないが、タイトルだけは印象に残っていて、当時は「ローズマリー」という文字・音だけで、恐怖に戦〈おのの〉いていたような。

 

こういう、昔観て、というか意図せずに目にして怖かった映画やドラマというのはいくつかある。

それらに接した晩はよく眠れず、目が覚めるたびに、暗がりのなかに何か恐ろしいものが潜んでいるのではないかと怯え、ますます眠れなくなった。

 

だいたいこういう怖い系を放映していたのは夏だったから、そのうち部屋のカーテンの隙間から日が差してくる。

暗闇が消え、そこに何もないことを確認すると、眠りにつくことができた。