息子さん ご家族とお別れして 進む


いつもだと もう追いついてこられるのになぁと 何度も 後ろを振り向いたけど

息子さんは 見えなかった


すごく気になったけれど 心配はしていなかった


不思議だけれど 息子さんのゴールは 私の中では 「絶対!」だったから


今日初めて お会いして 抜いたり抜かれたりを繰り返して 少しお話をしていただいただけ

それも 「練習してない」と 言われていた


だけど 息子さんのゴールは なぜか「絶対」だった


それより 危ないのは「自分」


どんどん 制限の時間が私のタイムに追いついてきている

進むごとに 近づいてきている


痛みに耐える時間が 長く長く感じた

だけど 制限時間を考えると なんて時間は 早く過ぎるんだろうと感じていた


今 現在 という 同じ 「時間」が とてつもなく長くて あっというほど短い


82キロ位だった?


突然 「ちゆさん!!」名前を呼ばれた

徳島の 大虎の方だぁ


「ナイスラン ナイスラン」


と言いながら ハイタッチしてくださった


嬉しかった 知ってる顔に会う 声をもらう 手のひらから 力をもらう

自分の名前を呼ばれる事でこんなに力をもらうなんて


そして「ナイスラン」の言葉から まだ間に合う可能性がある時間なのかなと 思った


しばらくして 追い越す車のなかから また 応援をもらった


応えながら うれしくて泣けた


一昨年の忘れ物を 取り戻す旅


その一つが「風景を楽しむ」


・・・・苦しい時 空や 四万十川のグリーン 柿のみのオレンジに 意識して目を向けた

だけど どのときも 痛みが勝ってしまい 「風景を楽しむ」とは 言えない気がした


少し残念だけれど ここまでこれただけで十分だ


そんな事を考えながら 進んでいた


83キロくらいだった??

なぜだかわからないけれど ふっと右を見た


驚いた


空が黄金に輝いていた

日が沈んだ直後


黄金に輝く空に 飛行機雲が 線を描いていた


四万十川も 黄金に輝いていた


写メも撮れなかった


だけど 走りながら見た あの黄金の空と黄金の四万十川は

一生忘れない


「ありがとうございます」と 声を出して黄金の景色の中で

上を向きながら 深呼吸したら 笑顔になれた


今日は 神様からの プレゼントがいっぱいだ