「紙の上の魔法使い」終わりました。

とても面白くて、とても刺さりましたねこの作品。

 

例によってネタバレありで既プレイ向けな点と、いつにも増してフィーリングな話が多くて恐らくかなり伝わりにくくなっている点は悪しからず。

 

 

 

まずはこの作品をプレイしていて一番の衝撃だったことを。魔法の本によって語られている物語、という前提があるだけで没入しているのにも関わらず物語をメタ的な視点で読んでしまい醒めてしまう、この没入感と醒めている感覚が共存する感覚が新鮮すぎて衝撃でした。特に1章「ヒスイの排撃原理」の終盤で初めてこの感覚を覚えたときはプレイ体験的に良すぎて一瞬でこの作品を好きになりました。また、魔法の本によって語られている物語ということを自覚したキャラクター達もとても魅力的でしたね。

 

こんな感じで序盤は魔法の本の面白さを楽しんでいたのですが物語が進むにつれて序盤に感じた魔法の本の面白さから離れて行って不安でした、が結果的には大丈夫でしたね。中盤以降はキャラクターが強く引き立っていて面白かったです。例えば理央はエゴよりもやさしさが強い自己犠牲が好きですし、かなたの「自分が好きな自分でいたい」みたいな価値観とか色々好きです。

 

そして、そんなヒロインたちの「らしさ」(と思っているモノ)が反映されたような各ENDもよかったです。特に理央ENDと妃ENDは絵に描いたようなメリバでとても好み。実は事前に心中ENDがあると教えてもらったのもこの作品をプレイする切っ掛けだったので妃ENDに関しては期待していたモノがしっかりとありましたね。また紙の上の存在でないオリジナルの瑠璃と妃の物語(3章「サファイアの存在証明」までの物語)は、妃の「オニキスの不在証明」に抗うための自殺と瑠璃の後追い心中できれいに完結していて正直妃ENDよりも好きです。妃ENDで「春日狂想」が少し会話に出てきましたが、まさか「愛するものが死んだ時には、自殺しなきゃあなりません。」をそのままやってたとは。(伏線なのか?)本来の意味から外れている気もしますけど、ともかく計3回もメリバを楽しめたのは大満足でしたね。

 

その後はさすがにもう刺さる要素はないだろうと思って読み進めていましたが、12章「ラピスラズリの幻想図書館」の夜子のセリフが色々刺さりすぎて腰抜かしました。元々、夜子のセリフには共感できるモノが多かったのですが12章は抜けてましたね。書いていたらキリが無いのですが「――そうやって、空想の中でしか幸せになれないのよ!」みたいな自分自身の心境にかなり近いセリフが多かったので本当に驚きましたし面白かったです。感想ツイートで「物語への依存度が高い人にほどオススメかなと思います。」とか書いたのはこういったセリフも理由だったり。ちなみに、そんな夜子に対して現実に生きるようにと掛けられたセリフ達も精神的ダメージな意味で刺さってたので読んでて辛かった記憶があります。悲しい。

 

総評

シナリオの面白さ以外の部分をメインに楽しめた個人的に稀有な作品。プレイ体験的にとても良い。いくつか粗が目立ったり一部のENDが弱く感じたのは気になりました。キャラクターは個性的かつ魅力的でテキストも良く、ミスリードが多くて読むのは大変でしたがシナリオも全体通して中々楽しめましたし、何より色々な要素が刺さったので「プレイして良かった」という感想がとてもしっくりくる作品かなと思います。「魔法の本」が大好きです。ヒロインもみんな大好きです。

 

▼批評空間に付けた点数▼

40:シナリオ 8/10 (×5)
12:グラフィック 4/5 (×3)
06:音楽 3/5 (×2)
05:キャラ 5/5 (×1)
20:その他 20/20 (×1)
05:好み加点

88:得点