大井純子さんは主婦ですが、
料理好きが高じて、大手メーカーのメニュー企画など数々のフードの仕事に携わり、黒幕(大井孝光さん)の転勤で暮らしたアメリカ、ニューヨークでは、料理学校の研修で実際のレストランの部門シェフまで勤めた、“スーパー主婦”なのです。現在は、一人娘(大井祐来さん)の世話をするかたわら、美味しいレシピ満載のブログを更新することに夢中だそう。大手食品メーカーのサイトでも紹介された大井さんのブログは、あなたも訪れたことがあるかも知れません。
■Q:アメリカにいらしたのはいつ頃ですか?
2002年から、主人の転勤に伴ってニューヨークのマンハッタンに2年間在住していました。
海外生活は少し戸惑いましたが、毎日の楽しみはスーパーマーケット巡りでした。だって、見たこともない野菜やフルーツが手も届かないほどうず高く積まれていて、しかも日本のようにラップで包んである野菜はひとつもないんです。大都会なのに、綺麗に山積みにされたズッキーニのヘタのみずみずしさや、ちくちく刺さるくらい元気なトマトの葉などに驚きました。ブドウやサクランボは試食が自由だから、みんな当然のように味を確かめてから買って行きます。「お手を触れないでください」なんて過保護な日本の果物とは違うんですね。そんな消費者が主役のマーケットが大好きでした。
■Q:ベジタリアンの料理学校に通われていたんですよね?
滞在2年目の秋から4ヶ月間、アメリカ料理をもっと勉強してみたくて、主にベジタリアン料理を学ぶ“Natural gourmet cookery school”に入学しました。
授業はベジタリアン料理にとどまらず、アレルギー、環境、マクロビオテック、ヨガなど、人間の身体に関するあらゆる分野から食を学びました。調理技術だけではなく、生産地と結びついた、未来のお客をも考えた授業です。
授業の中で、インターンとしてさまざまな場所で働きました。アメリカにはプライベートシェフというのがあります。これは個人の専属のシェフのことで、顧客は独身者から高齢で買い物が大変なシニア層まで幅広く、相手のアレルギーや病気、体調、家族の病歴、宗教、ダイエットなどすべてを理解して毎日の献立を作り上げる仕事です。調理だけではなく、“食材を吟味することからプロの料理人に任せる”という考え方で、食のプロとは、調理が出来るだけでなく、素材を判断したり、見つけ出したりする技術も必要なんだ、ということを学びました。
■Q:インターンではレストランの部門シェフもされていたそうですね?
ベジタリアンレストランで働きました。シェフはもちろん、フロアのスタッフからバーテンダーまで、毎日生産者から届く食材や自分たちが扱う料理について良く知っているし、勉強もする。だから堂々とサービスができて、お金がもらえる。とても気持ちの良い環境でした。
学校の依頼で生徒達を日本のスーパーへ案内したことがあります。原材料を細かくチェックし、質問する彼らはとても真剣で、厳しい眼を持っていました。今はニューヨークでも当たり前のように売られている豆腐ですが、アメリカ産の豆腐は「原材料:大豆、にがり、以上」(笑)。日本のお豆腐よりずっと美味しかったりしますよ。
マンハッタンという大都会で時間に追われている人も多いはずなのに、野菜を買うために、大型スーパーでなくグリーンマーケットやオーガニック食品店に足を運ぶ。魚は魚屋で買う。肉もその場でスライスしてもらう。そんな昔の日本の商店街のような買い方が当たり前のように行われているのは、ひとりひとりの健康や安全に対する意識の高さの表れなのだと感じました。
<プロフィール>
大井純子(おおい じゅんこ)
主婦ブロガー
1972年生まれ。短大卒業後、5年間の会社勤務を経て、結婚を機に退社。2002年に夫の転勤にともない渡米。アメリカではベジタリアンメニューを主に学べるNatural Gourmet Cookery School


