歩き始める。
雨の降り方が強くなってきた。
それも、かなり急に。
500mほど進んだ所であきらめて雨宿りする場所を探す。
すると大津の方が木の下でレインウェアを装着中。
そこに逃げ込む。
俺もレインウェアのズボンを装着。
いままでの経験上、GWに雨が降ることはほとんどない。
が、豪雨になったw
ま、天気予報では今日だけやし、ここが我慢のしどころやな。
で、すぐに治まるかと思いきや、
梅ノ木トンネル付近ではホンマにすごい雨。
トンネル出口に人。
濡れてない。
ギリギリ雨に降られる前に逃げ込んだのか?
平田駅付近では小雨。
で、もう止むかと思うと、いつまでもダラダラ降り続く。
今日の宿の民宿嶌屋付近では雨が上がった。
39番延光寺は目と鼻の先。
このまま延光寺に参るか、荷物を置いてからにするか?
考えながら歩いていると先達のOさんが追い付いてきた。
O野さん、荷物は置いていくと言う。
で、一緒に民宿嶌屋へ。
「O野だけど、よこづなさんも到着したから」
と、声をかける。
すると、
「よこづなさん?予定に入ってない。」
と言う。
え?
3月29日に電話しとんねん!
空いてるって言うたし、復唱までしたやろが!
この辺のことを言うも、
「入ってない」
でおしまい。
晴れてれば意地で野宿でも何でもするが、雨の後。
まだ降りそうやし、そんな訳にはいかない。
そもそもこの日、どこも宿が無い。
宿毛まで行っても空きは無い。
この辺、昔は「民宿へんくつ屋」とか「民宿ひょうたん」があった。
でも、それらも廃業しており、本当に宿が無い。
そこでO野さん、
「電話でも言ったけど、俺んところは相部屋でMさんって方も来るから。」
そして、
「もし一番広い部屋だったら、よこづなさんも相部屋で泊まっても構わないか?」
と言ってくださった。
O野さんがお大師様に見えた。
問題はメシ。
急に1人分準備できるのか?
こんな田舎、メシを食う場所は無い。
聞くと、出来ると言う。(ホンマかいな?)
O野さんの御好意により、宿を確保できた。
荷物を置いて、39番延光寺へ。
念のため、レインウェアは着用のまま。
15時15分、
39番延光寺に到着。
高知県最後の札所である。
到着後間もなく強い雨。
レインウェアを着てきたのは正解。
出る頃にはこんな感じ。
民宿嶌屋に戻る。
外にレインウェアを干し、部屋へ。
部屋は2階の一番奥の広い部屋。
既にO野さんは記録をつけていた。
少ししすると、相部屋になるMさん到着。
とりあえず挨拶をしようと、玄関に降りる。
ん?
どっかで見たことがあるなぁ・・・。
そう、岩本寺を出て最初に休憩した場所だ。
そして、大岐海岸や。
後にわかることやが、学年で言うと同級生。
このMさんも宿が無くて困っており、O野さんに助けてもらったそうだ。
民宿嶌屋、
風呂は広く、3人位は同時に入れる。
ただ、シャワーは1つ。
トイレはかなり狭い。
簡易式の洋式なので、膝が壁にあたる。
あとは和式。
ウォシュレットは無い。
後に知るが、1階のトイレは普通のものがあるようだ。
洗濯機と乾燥機は各1台。
お茶やコーヒーは自分で勝手に入れて飲んでも良い。
俺はコーヒーを2杯ほど飲んだかな。
夕食は17時30分と、メチャメチャ早い。w
ウィスキーの水割り(多分ジョニ赤)を注文。
結構な人数が泊まっている。(満室やから当然)
正面にO野さん、隣に単身赴任中の方、その隣にMさん。
O野さんの横には女性3人組。
色々と話していてグループかと聞かれる。
「我々は病人なんです。お四国病という死ぬまで治らない病気の。」
とは俺の発言。
で、隣の方が梅ノ木トンネルにいた方。
その話をすると、ずぶ濡れになってしまい、寒くなって上着を着たらしい。
それで濡れてなかったようだ。
この方もどっかで見たことがある。
声も聞き覚えがある。
3巡目と言っていた(ような・・・)し、どっかの宿で以前一緒やったような・・・。
複数回巡ると、やっぱりこういうことがある。
ほとんどの方が撤退した後、
別のテーブルからこちらに移動してきた方がいた。
もう10巡目かなんかのようだ。
電車、バスを駆使しているらしい。
この方曰く、
「1回歩いてるから、また歩くのは無駄」
とのこと。
ま、人それぞれの価値観でしょうな。
もし俺がそう思うなら2度と来んけどな。
あくまでも遍路であり、寺巡りでは無いからな。
部屋に戻って寝る準備。
相部屋なんで、いつものペースとはいかない。
無理矢理に寝ることにした。
生前、うちの親父は工事現場のようなイビキをかいていた。
なので、俺はうるさくても全く問題無い。
他の人はどうなんでしょうかね?
これだけが相部屋で気を遣うところやな。
ま、早くに寝たモン勝ちということで。
修行の道場と言われる土佐。
まさに修行でした。
特に最後の今日は。
O野さんがおらんかったら、
知り合ってなかったら、
俺、
どうなってたんやろ。
連休の四国、どこも宿の空きが無い。
移動しても無いもんな。
O野さんと巡り合わせてくださったお大師様による縁、
そして何より、
O野さんに感謝である。
(よこ・ω・づな)