幕内は、照ノ富士が一敗で単独トップ。二敗で霧馬山と朝乃山が追いかける展開になりました。

 照ノ富士は初日から八連勝で、ただ一人中日勝ち越し。九日目、一敗だった明生の横からの攻めに屈して黒星がつきましたが、三役の琴ノ若、豊昇龍、若元春を下して星を積み重ねてきました。右四つ左上手という型になる相撲はほとんどありませんが、鍛えてきた上半身のパワーで強さを見せつけています。手術明けですから、最終盤は膝への負担もかなりかかってくると思います。そんな状況の中でも、優勝こそ横綱としての責任といつも口にしているだけに、一年間遠ざかっている賜盃の奪還へ、誰よりも強い気持ちで土俵に上がることでしょう。

 二敗で追いかける霧馬山は、今日の白星で大関昇進の目安に到達しました。中日くらいから本来の相撲が見られるようになり、今日の貴景勝戦は、完璧な相撲でした。大関の新旧交代の瞬間を見たような気がします。目安には到達したとはいえ、まだ十番ですし、前半の内容を帳消しにするためにも、残り三日は非常に大事になってきます。照ノ富士戦もまだ残っていますし、星を積み重ねていけば連覇も夢ではありません。ちなみに、関脇以下の力士が二場所連続で幕内最高優勝を果たした例は、長い歴史の中で一度もないそうです。

 初日から七連勝だった朝乃山は、今日で二敗目。大関経験者とはいえ、やはりまだまだ相撲が甘いです。北青鵬に投げられた相撲はもちろん、平戸海には踏み込み負けし、明生にはもろ差しで土俵際まで追い詰められました。久しぶりの三役戦となった今日の大栄翔戦では、立ち合いこそ互角に見えたものの、押し相撲相手にまともに引いて呼び込んでいるようではお話になりません。先場所までの相撲で分かっていたことですが、やはりこのままでは上位に戻っても大勝ちを続けて大関に戻るのはそう簡単ではないようです。十三日目は久しぶりの結びで、まだ一度も勝ったことがない照ノ富士戦。今の自分の実力がどれだけ最高位と乖離しているか、身をもって感じてもらいたいと思います。

 注目の四関脇は、十二日目までに全員が勝ち越しを決めました。二桁に到達した霧馬山はもちろん、全員が十番、十一番まで白星を伸ばしていけば、名古屋の土俵がより活気のあるものになるはずです。審判部の取組編成的にも十分に可能性がありますので、大いに期待したいです。

 十両は、豪ノ山と落合が一敗で並ぶ展開。十一日目の直接対決は見ものでした。お互い譲らずに星を伸ばしてもらって、決定戦でもう一度バチバチのぶつかり合いを見たいものです。