横山歯科医院

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[若い女性に忍び寄るサルコペニアの影]


サルコペニアとは筋肉量減少、筋力低下のことです。
当初、高齢者医療や介護領域で認識されました。

その後、介護予防に重要との考えから、対象が中年から若者に拡大しました。


日本の痩身の若い女性の摂取カロリーは、北朝鮮並かそれ以下とする
研究者もいます。
食事内容を考えれば、以下と考えるべきでしょう。

中学生を対象とした「給食が不味かった場合や好みの味ではなかった場合
どうしますか?」という調査で、男子生徒の70%が「残さず食べる」と
回答しました。
理由は、「腹がへるから」でした。

一方、女子生徒の場合、運動部を中心に30%でした。
「お腹が空い時はどうしますか?」との質問には「こっそりお菓子を
持って来ているので、それを食べる」と回答しています。

サルコペニア対策は筋トレですが、その前の段階で筋肉をつくるための
タンパク質やその他の栄養素を摂取していることが必須です。


非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は基本的にはメタボに多い
疾患です。
しかし、痩身の若い女性にも増えてきています。
脂肪を分解するにはタンパク質が必要だからです。
 

 

 

[高層マンションの心停止は生存率が低い]

(ケアネット 2022/09/02)

閉鎖空間であり人手が集まりにくいのは高層マンション内のどの階でも
差がないかも知れません。

運良く家族がいて救急車を呼べた場合に、救急隊の到着から搬送までの
時間には差があり、当然ながら上層階ほど時間がかかります。



 

[45歳の死、生きざまに反響 別れの動画再生200万回 
           緩和ケア医関本さんの言葉に「励まされた」]

(神戸新聞NEXT  2022/9/10)


緩和ケア医としてがん患者約千人を看取り、自らもがんのため今年4月に
45歳で亡くなった関本剛さん。
生前に収録し、自身の葬儀で上映した「別れのあいさつ」の動画が
注目を集めている。
遺族の了承を得てユーチューブの神戸新聞チャンネルに掲載すると、
半月ほどで再生回数が200万回を超え、高評価も3万に達した。「
励まされた」「希望をもらった」-。
コメント欄には感謝の声があふれている。
(津谷治英)


関本剛さんは神戸市東灘区出身で関西医大卒業後、病院勤務を経て
2018年、母雅子さん(72)が開業した緩和ケア専門の関本クリニック
(同市灘区)院長となった。
翌19年に末期肺がんと脳転移が見つかり、抗がん剤治療を受けながら、
亡くなる1カ月前まで患者の診療を続けた。

動画は病状が落ち着いていた2年前に収録され、遺言通り通夜、葬儀で
流された。

今年8月には、母校の六甲学院中学・高校(同市灘区)で同窓生らが開いた
お別れ会でも大画面で紹介された。

「いささか短い人生ではありましたけれども…」。
動画の中で、剛さんは話し始める。自らの死を念頭に置きながら湿っぽさは
なく、カメラを見つめる瞳も言葉も落ち着いている。

家族や友人に恵まれ、目標にしていた仕事に従事した生涯を「最高の人生」と
振り返った。
妻と子を残していくことだけが気がかりと明かし、「よろしくお願いします」
と頭を下げた。

一方で「あの世に行って、先に逝かれた先輩たちとおそらく宴会三昧の
日々だと思う」と視聴者を和ませる配慮も。
「後から来られる皆様のために、いいお店・いいお酒を手配してお待ちして
おります。そんな日が、少しでも遅くなりますことを」。
笑顔で手を振り、別れを告げた。


再生回数は9月10日正午時点で216万回を突破。
視聴者は中高年の女性が多いとみられ、コメントも830件以上が
寄せられた。
「死に直面していながら、この冷静さと穏やかさ、さすが緩和ケアの先生」
「全く存じあげない方なのに涙が止まりません。生を無駄にしてはいけない
と、勇気をいただきました」

励まされたという医療従事者も。
「看護師です。今まで患者様のために走ってきた人生だと思います。
私も先生の分までこれからも頑張っていきます」


末期がん患者からの言葉はひときわ重い。
「緩和ケアが始まるところです。…いかに生き切るかが良き死を迎えること
だとしたら、この方の生は誠にそういうものだったのでしょう。
うらやましくも希望であります」


母の雅子さんも反響の大きさに驚いた様子で、次のようなコメントを寄せた。
「剛のメッセージがお役に立てているのを喜んでいます。将来、天国で
あまりに多くの方々から声をかけていただくことになり、剛もびっくりする
ことでしょう」


■作家・福田和代さんの話 
動画が多くの方に受け入れられたのは、コロナ禍で私たちみんなが
「自分と身近な人の死」に強制的に向き合わされることになり、死について
嫌でも考えざるを得なくなったからではないか。

コロナ禍以前は平均寿命が80歳を超え、身近な人が亡くなることも
まれになり、人の死に向き合うことが減ったと言われていた。その状況が
反転し、若い知人たちからも、「万が一に備えて、残された人が困らない
ように遺書を書いた」という話をよく聞いた。

そんな時代に、関本氏のメッセージは、死は誰にも等しくいつか訪れるもので
あり、必要以上に恐れたり、悲しんだりする必要はないと気づかせてくれる。
悲愴感を抱かせない、穏やかで笑みさえ浮かべた語り口とお人柄によって、
すっと素直に心に響いたのではないか。自分の最期から目をそらさない
強さは、これからきっとさらに必要になるように思う。


https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202209/0015629008.shtml




 

[スポーツ競技で使用禁止の口内炎治療薬]


口内炎治療薬のデキサメタゾン口腔用軟膏(アフタゾロン等)や
トリアムシノロンアセトニド口腔用貼付薬(アフタッチ等)(旧ケナログ)は
競技会時には使用を禁止されます。

[ドクターショッピング考 夏樹静子著「腰痛放浪記 椅子がこわい」]


人気作家の夏樹静子さんは54歳から57歳までの3年間、激しい腰痛でした。
最終的には入院治療にまで至りました。

家事は全て家政婦さんにまかせていて、毎日8時間、多い日には13時間
執筆していました。
唯一の趣味は囲碁です。
起きている間中座っている生活を長年続けていました。

腰痛発症時に近所のA整形外科病院を受診しました。
「骨には異常はありません。2時間ごとに執筆を中断して動き回りなさい」
と言われました。
実践するとすぐに腰痛は消失しました。

240ページの本の中の24ページで治癒した訳です。
最初の受診で名医に巡り合ったラッキーな患者さんです。
これでは「腰痛放浪記」は誕生しませんでした。



この本は腰痛症の話ではありますが、多くの不定愁訴に通じる物語だと
思います。
特に、
 (1)ドクターショッピング症例に遭遇する医療従事者
 (2)ドクターショッピング中の患者さんの家族や親戚、友人
にお勧めします。

残念ながら、ドクターショッピング中の患者さん自身はピンと来ないかも
知れません。

ドクターショッピングには、
 (A)NHK「ドクターG」クラスの先生でも診断がつかない難症例
 (B)診断や治療方法は提示されているのに患者さんが納得しない
場合があります。

夏樹静子さんの場合は(B)であり、狭義の(真の)ドクターショッピング
でした。



A整形外科のお陰で腰痛が改善した夏樹静子さんでしたが、
のど元過ぎれば・・・の格言通り、2時間ごとの動き回り(家事や散歩)を
中止してしまいます。
そして再び、8時間から13時間のぶっ通しでの執筆を始めてしまいます。

当然、腰痛は再発し、しかも前より重症化します。

何軒かのドクターショッピングの末にB整形外科を受診します。
そこで、運動不足と筋肉弱化を指摘されます。
夏樹静子さんは合点がいきます。
夏樹静子さん自身も運動不足と筋肉弱化が原因だろうと漫然と考えて
いたからです。



ドクターショッピング中の患者さんの特徴のひとつに、自分自身で
答えを用意していて、同じ答えの医師に出会うまで医療機関を彷徨う
パターンがあります。


夏樹静子さんはB整形外科でプール内歩行を勧められ、2年間続けます。
2年間も続けられたのは、用意していた自身の答えと一致したからです。
しかし残念ながら効果はありませんでした。
運動や筋肉強化では改善しない段階まで腰痛が悪化していたからです。



この本の良いところは心療内科について詳しく書かれている点です。
世の中には精神科医が標榜する「なんちゃって心療内科」がたくさん
ありますが、精神科と心療内科は別物です。


夏樹静子さんは既にA整形外科病院で心因性を指摘されていました。
「作家を辞めなければ腰痛は再発して悪化します」と指摘されていました。
その後も、何人かのドクターに心因性を指摘されました。

これに対して夏樹静子さんは全く聞く耳を持ちません。
 ・元々ネアカ
 ・書きたくて書きたくて書いているのであって、
      出版社に強制されている訳ではない
というのが夏樹静子さんが心因性を否定するための主張です。



ドクターショッピング中の患者の特徴のふたつめが、聞く耳を持たないこと
です。
ある1人のドクターに指摘されただけなら納得がいかなくても仕方が
ありませんが、複数のドクターに指摘されても無視するのが
狭義の(真の)ドクターショッピング中の患者さんです。


自殺するために睡眠薬を集めるところまで追いつめられた夏樹静子さんは
他に手段や治療法がないので、仕方なく入院治療のために
C病院に入院します。
C病院の診断も心因性でした。
A整形外科で心因性を指摘されてから3年以上かかりました。
治療方法は1年間の休筆でした。


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夏樹静子さんは1938年(昭和13年)、港区生まれ、熱海育ちです。
出生名は五十嵐静子さんです。

本の中に登場するお兄さん、五十嵐均さんも作家です。


夫は2歳年上の出光芳秀さんです。
出光の創業者の出光佐三さんの甥です。

出光佐三さんの弟である出光弘さんが創業した新出光は、関東以西に
600のガソリンスタンドを展開している上場企業です。

出光弘さんの息子である出光芳秀さんは、新出光の社長〜会長を
務めました。
まさにセレブ夫婦です。

超ウルトラスーパーセレブ夫婦が故に、全国から有名な先生を
福岡まで呼び寄せ、ドクターショッピングに拍車がかかってしまいました。


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この本では、作家と編集者との関係が解る点もおもしろいです。
森村誠一さんやその他の有名作家が実名で登場し、作家同士の
関係も興味深いです。





 

[薬が原因で起こる老年症候群とは?]

(家庭の医学  2020年5月26日)


<薬がマイナスに!?>
「老年症候群」という言葉を聞いたことはありますか。
加齢にともなって起こる症状や徴候を指し、呼吸器や循環器、神経系など、
治療や看護を必要とする複数の症状をあわせもちます。

なかでも最近とくに注目されているのが、「薬剤起因性老年症候群」です。
どのような状態を指すのでしょうか。
何が課題となっているのでしょうか。


老年症候群には、高齢になれば程度の差こそあれ、誰にでも起こり得る
「生理的老化」と、糖尿病や高血圧といった疾患や、転倒などによるけがが
原因で起こる「病的老化」があります。

薬剤起因性老年症候群は名前のとおり、薬が原因で起こるものを指します。
原因となりうる薬剤と、主な症状をあげてみましょう。

  降圧薬→ふらつき・転倒、記憶障害、抑うつ症状など
  睡眠薬→ふらつき・転倒、記憶障害、せん妄、便秘など
  抗不安薬→ふらつき・転倒、記憶障害、せん妄、食欲低下、便秘など
  パーキンソン病治療薬→ふらつき・転倒、記憶障害、せん妄、
               食欲低下、便秘など
  抗不整脈薬→せん妄など
  過活動膀胱治療薬→排尿障害・尿失禁、便秘など
  消炎鎮痛薬(NSAIDs、アスピリン)→食欲低下など
  抗ヒスタミン薬→記憶障害、せん妄、抑うつ、便秘、
               排尿障害・尿失禁など



(監修:目黒西口クリニック院長 南雲久美子)


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https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/126839/

 

 

 

 

[オゾンガスでコロナ無害化 奈良県立医大、世界で初めて確認]

(産経新聞  2020年5月22日)


県立医科大学(橿原市)などは、新型コロナウイルスがオゾンガスによって
無害化することを世界で初めて確認したと発表した。
将来的に病棟や診察室での活用が期待できるという。

今回の実験では、密閉された容器の中で新型コロナウイルスに規定の濃度の
オゾンガスを約1時間噴霧。
その結果、感染力を持ったウイルスが最大で1万分の1にまで減少することが
確認された。
今後は病室などの臨床現場に近い環境で、効果があるかどうか検証する
必要があるという。

オゾンガスはすでにノロウイルスや重症急性呼吸器症候群(SARS)に
効果があることが確認されており、医療現場や救急車に発生機が導入されて
いる。

同大感染症センターの笠原敬センター長は「オゾンガスは生成に原材料が
いらず、残留毒性もないので現場にもメリットはある」と説明。
一方で「消毒はアルコールなどによるふき取りが基本で、オゾンガスは
あくまで補助的に使うもの。それだけで消毒が完了するわけではない」と
強調した。


https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200521-00000002-san-l29

 

 

 

 

 

[アスリートはかぜをひきやすい?]

(家庭の医学  2020年4月27日)


<運動と免疫力の関係性って?>
身体能力の高いトップアスリートは、健康そのものに見えますが、
じつは激しいトレーニングによって免疫力が低下し、むしろかぜなどを
ひきやすいことがわかってきました。
もちろん、アスリートはそのためのメンテナンスや栄養管理などを
しています。

運動が免疫に与える影響を知っておくと、私たちの健康づくりにも
役立ちそうです。

アスリートがハードなトレーニングのあとでかぜをひきやすくなることは、
スポーツドクターの間ではよく知られた事実です。
オリンピック選手村で発生する病気のトップは、かぜ。
屈強でかぜもひかない強靱な肉体というイメージとは違うようです。

運動の量や強度と感染のリスクの関連を示した「Jカーブ」モデルによれば、
運動不足の場合より、適度な運動をしたほうが、感染リスクが低下します。
ただし、過度な運動になると逆に感染のリスクが高くなってしまいます。

適度な運動とは1日数十分程度の軽いジョギングなどをさし、過度の運動とは
フルマラソンを走るようなレベルをさします。
では、なぜ過度な運動で免疫力が低下してしまうのでしょうか。

激しい運動をすると、肉体的に強いストレスを受けるため、免疫力の指標の
1つであるナチュラルキラー細胞の活性が低下してしまうほか、ストレス
ホルモンといわれるコルチゾールが多量に分泌され、免疫が低下する
からではないかといわれています。

また、血液中に含まれる免疫グロブリンA(IgA)という物質には、
体内に侵入した病原体を排除する働きがありますが、過度な運動をすると
IgAが低下することもわかっています。

このほか、運動中は血液が体の中心に集中し、皮膚の表面や粘膜など
体のバリア機能を担っている場所には不足しがちになるため、
病原体が侵入しやすくなるともいわれます。

アスリートの場合はそうした影響を補うために、スポーツトレーナーが
全身をメンテナンスしたり、栄養士が食事の指導をするなどして体調管理を
していますが、そうしたアフターケアをせず過度な運動を続けてしまうと、
せっかくの運動が弊害にかわってしまうことがあります。

健康維持が目的なら、体調や年齢に応じた内容で1日1時間程度の運動で
十分でしょう。

しかしながら、学校の部活動、大人の習い事や趣味でも、試合を控えて
激しいトレーニングが必要になる場合もあります。
それなりに激しいトレーニングをしながら、かぜをひかないように
するためにはどうすればよいのでしょうか。

かぜ予防の基本は、感染経路を断つための手洗いです。
汚れたと感じなくても、あらゆる場所に触れる手は、細菌やウイルスが
最も付着しやすい場所。
いろいろなところを触った手で、鼻や目、口などを触れば、粘膜から
ウイルスが侵入してしまいます。

せきが出ている人に対しては、マスクをつけることが推奨されます。
予防のためのマスクはあまり意味がないといわれますが、多くのかぜが
上気道炎を招くことから、せきやくしゃみが出るときにはマスクをつけ、
うがいをしたり適度な水分をとって、気道を保護しましょう。


また、バランスのよい食生活と十分な睡眠をとって、体の抵抗力を高めておく
ことも大切です。
食事では、肉や魚、卵、大豆、乳製品から良質なたんぱく質をとることが
大事。
とくに運動後のたんぱく質摂取は、疲れた筋肉の回復を早める効果も
あります。

さらに、野菜や果物、ナッツ類からビタミン、ミネラルをしっかりとることも
不可欠です。
たとえば、ダイエットのために、プロテインドリンクだけで食事を済ませて
しまうなどはNG。
必要な栄養素は食事でとることが基本です。

そして、免疫力低下を防ぐためにはしっかり休む、眠ることも重要な
ポイント。

運動と休息のバランスをとり、感染リスクの高い場所には行かないといった
予防策も心がけましょう。


(監修:医療法人誠医会 宮川病院 内科 宮川めぐみ)


https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/126782/



 

[舌の痛み・しびれの原因は重い病気のサイン?]

(家庭の医学   2020年4月16日)


<舌の痛み・しびれは放置しないで>
舌に痛みがある・しびれが出る病気にはどんなものがあるのでしょうか。
口内炎のように数日でなおるものから、がんや脳卒中などの重大な病気まで、
さまざまな原因が考えられます。詳しく見てみましょう。

舌に痛みを引き起こす原因には、まず物理的刺激によるものがあげられます。
歯の詰め物(補綴物)が取れたり、歯が欠けたりした部分に舌が当たったり、
気になって舌先で触れたりする刺激によるものです。
舌の粘膜上皮は年齢とともに薄くなるため、刺激によるダメージを
受けやすくなることも誘因になります。

誰もが経験する「口内炎」は、頬の内側の粘膜や歯茎、唇の裏側の粘膜に
できやすいのですが、なかには舌の側面や裏側にできるものもあります。
その場合、舌を動かすだけでも痛みが生じます。
とくに、「アフタ」と呼ばれる白っぽい円形の潰瘍はひどく痛みますが、
いずれも2週間程度で自然治癒します。

また、かぜをひいたときに舌の表面がただれるなど、全身の免疫力が低下した
ときに、なんらかのウイルスや細菌の感染によって、舌に炎症が起こり痛みが
生じることもあります。
たとえば、「口腔カンジダ症」の場合、常在菌であるカンジダ菌(真菌)が
免疫力の低下や唾液量の減少によって異常繁殖することで、舌に痛みを
引き起こします。
舌や口腔粘膜にヨーグルトのような白っぽいものが点状、まだら状に
付着します。

「口腔乾燥症(ドライマウス)」は、唾液の分泌量が減少して、口の中に
菌が繁殖しやすくなって、口臭が強くなったり、虫歯や歯周病にかかりやすく
なったりする口腔トラブルです。
時には、舌の表面も乾いて痛みが生じ、食事や会話も困難になる場合が
あります。
ドライマウスの主な原因は加齢やストレスですが、自己免疫疾患や薬の
副作用でも起こります。

「舌がん」の前がん症状の段階で痛みを生じることもあります。
「白板症(はくばんしょう)」といって、白っぽい板状の硬い膜が
口腔粘膜や舌にでき、痛みを伴う場合、舌がんの前段階の可能性があります。

ちなみに、頬の内側の粘膜や舌にできる白っぽい網状(レース状)のただれは
「扁平苔癬(へんぺいたいせん)」と呼ばれ、補綴物の金属アレルギーや
ストレスなどが原因と考えられていますが、正確なところは不明です。
比較的多く見られる症状で、がんになることはまれといわれています。

「神経痛」によって舌が痛む場合もあります。
舌先から3分の2を支配する下顎神経(三叉神経の1つ)に痛みが起こると、
舌を動かすだけで激痛が走ります。
舌根から3分の1を支配する舌咽神経に痛みが起こると舌根と、人によっては
咽頭、耳まで激痛が走ります。
これらの神経痛では、舌のしびれを伴うこともよくあります。

以上のような病気がないのに、舌先のピリピリした痛みやしびれが
あらわれるのが、「舌痛症」と呼ばれるものです。
舌の不快感を訴えますが、肉眼的に異常はなく、検査をしても病気は
発見されません。
更年期の女性や自律神経が失調気味の人にみられ、不安障害やうつ症状に
伴ってあらわれる場合も少なくないことから、精神的な要因が関係すると
いわれています。

舌がしびれる病気で比較的よく知られるのは前述の神経痛ですが、
毒キノコなど毒物を口に入れたときにも舌がしびれることがあります。

また、食物アレルギーによることもあり、その場合は舌だけでなく、
唇やのどの腫れ、かゆみなどの口腔全体の粘膜異常を訴える人が多い
ようです。

また、亜鉛、鉄のいずれかの欠乏症でも舌にしびれがあらわれます。
亜鉛欠乏症では、口腔乾燥や味覚異常も伴い、鉄欠乏症では、めまいや
倦怠感などの全身症状や舌の炎症がみられます。

注意が必要なのは、脳梗塞の症状による舌のしびれです。
脳の血管が詰まって言葉が出なくなる前兆として、脳幹の血流不全で
舌にしびれを感じることがあります。
突然、舌のしびれが出て、それ以外にも手足の脱力感やしびれなど、
運動機能や感覚に異常があらわれたら脳梗塞を疑い、すみやかに受診する
必要があります。

舌の痛みやしびれは、肉眼で舌に異常が見られる場合は口腔外科・歯科、
しびれがある場合は神経内科・一般内科などを早めに受診すると
よいでしょう。


(監修:寺本神経内科クリニック院長 寺本純)



https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/126758/

 

 

 

 

 

 

[ベジタリアンのほうが脳卒中のリスクが高い!?]

(家庭の医学  2020年4月9日)


<菜食中心では脳卒中のリスクが!?>
英国で行われた18年以上にわたる追跡調査によると、「ベジタリアンのほうが
肉食者より脳卒中、とくに脳出血を発症しやすい」という結果が出ました。

意外だと感じる人も多いはず。
この結果からどのようなことが考えられるのでしょうか。

野菜類や果物類には、抗酸化力をもつビタミン類や体液の電解質バランスに
必要なミネラル類が豊富に含まれており、これらの成分が血清脂質異常症や
高血圧症の予防・改善に役立つことが知られています。
また、特有の生理活性物質には抗がん作用などの健康効果があることも
明らかになっています。
これによって、脱メタボ&生活習慣病対策として「肉や油料理は控えて、
野菜を積極的に食べるべき!」というのが常識になったといえるでしょう。

それならば、肉や魚を食べないベジタリアンは、肉を食べる人より高血圧症や
脂質異常症になりにくく、脳卒中や心筋梗塞などの心血管系疾患になる人も
少ないだろうと思われがちです。

しかし今回の研究結果では、脳卒中、とくに脳出血に関しては、
ベジタリアンのほうが肉を食べる人より発症率が高くなったというのです。

この報告は、英国オックスフォード大学の研究者によるもので、2019年
9月に医学誌『BMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)』電子版に
発表されました。

研究対象は、1993~2001年に心疾患や脳卒中にかかったことのない英国内の
男女4万8188人(平均年齢45歳)。
彼らをベースラインとして、食事内容がヴィーガン(絶対菜食主義者)およびベジタリアン(1万6254人)、肉は食べないが魚は食べる人(7506人)、」肉を食べる人(2万4428人)の3グループに分けて登録。

18.1年以上にわたり追跡調査し、虚血性心疾患と脳卒中の発症率を分析
しました。
分析対象となったのは、登録時と、2010~2013年に再度実施した
アンケートの両方に回答した2万8364人です。

追跡期間内に、虚血性心疾患を発症したのは2820人、脳卒中は1072人
(脳梗塞519人、脳出血300人)でした。

アンケート調査で、既往歴やライフスタイル、身体活動量などを調整して
分析したところ、虚血性心疾患のリスクは、肉を食べる人に比べて、
ベジタリアンでは22%、魚を食べる人では13%それぞれ低いという
推定結果になりました。

一方、全脳卒中のリスクはというと、肉を食べる人に比べて、ベジタリアンの
ほうが20%高くなりました。
とくに脳出血のリスクは43%も高くなったということです。

なお、肉を食べる人と魚を食べる人では統計上有意な差はありませんでした。

つまり、心臓病は少ないのに脳の病気(全脳卒中のうちとくに脳出血)の
発症率は、肉を食べる人よりベジタリアンのほうが高いという結果だった
のです。

動物性たんぱく質や脂質の摂取不足によって血中コレステロール値が低く
なりすぎると、血管壁の細胞が弱くなり、脳出血のリスクが高まることは
以前から指摘されていました。

また、動物性食品に含まれるビタミンB12の欠乏と脳卒中リスクとの関連
なども示唆されています。

動脈硬化の分布は西洋人と日本人で異なるという報告がありますので、
これらのことが日本人にピッタリ当てはまるかどうかは今後の研究に
よるでしょう。

今回の調査でははっきりとした因果関係までは証明されていませんが、
肉や魚を避ける食事をとりつづけることは脳へのリスクを高める可能性が
あります。
現時点でいえることは、野菜類は十分にとり、かつ肉や魚も適量の範囲で、
バランスよく食べたほうが健康によいだろうということです。

ベジタリアン傾向の人は、動物性食品を食べないことで不足しがちな
栄養成分を補う必要があるでしょう。


(監修:寺本神経内科クリニック院長 寺本純)


https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/126745/