こんにちは。
金田音楽教室の金田です。
新年度になり、新しい生徒さんも多く入会する時期です。
この時期に限らず、いつも考えているのは教本選びです。
音符が読めて、リズムも理解でき、歌をうたったり、音を聴きわけたり、楽しくピアノが弾けるようになればよいのですが、最初にどんな教本を使おうか悩むことがあります。
私の教室は4~6歳くらいで始めるかたが多いのですが、始めて1年後にブルグミュラーなどを弾いている生徒もいますし、1年たっても同じ教本の1冊目という生徒もいます。
個人差があるので、特に気にしていないのですが、もう少し工夫すれば弾くこと以外(ソルフェージュや音楽史、楽典)のことも充実させられるのではないか・・など考えることが多いのでです。
もう少し長い期間で見てみると、小学5~6年にはソナチネの途中かソナタなどを弾いている生徒がほとんどです。ショパンの曲もわりと弾きやすいものは弾くことができます。
もちろん、例外としてほとんど最初のころと変化のない生徒もいますが・・。
このように書くと、わりと良く育っているように感じるのですが、教本の使い方をもっと工夫したいと思うようになりました。
なるべく四期の曲を広く与えるようにしているのですが、練習曲はどうだろう・・と考えています。
ハノンは意外に嫌がらずに弾いてくれますが、ツェルニーは「30番」あたりからあまり弾きたくないという子が出てきます。
ヨーロッパでは、ツェルニーは「30番」も「40番」も全曲弾かせたりしないようです。抜粋で個人に必要な曲だけを弾かせることが多いそうです。
私もその考えに賛成なんですが、将来、音楽方面に進む生徒には気をつけないといけないですね。
私の教室では、一般的な生徒には「ツェルニー30番」は数曲弾かせるだけで、「ブルグミュラー18の練習曲」や「ヘラー25の練習曲」などを弾かせることが多いです。
ハノン、ソナチネかソナタを弾いて、さらに「ツェルニー30番」も弾くって今の時代はちょっとマジメな気がするのは私だけかな~?
バッハやヘンデルなどの曲も弾いてほしいし、シューマンやショパンの曲も弾いてほしいし、ドビュッシーやギロックなどの曲も知ってほしい。
他にも紹介したい曲はたくさんあります。
「ツェルニー30番」を弾く頃には、なんとなく将来、どういう方向に進みたいかわかってくると思うので、それを聞いてツェルニーをやらせるかどうか決めてもよいと思うのです。
「ブルグミュラー18の練習曲」も「ヘラー25の練習曲」も良いエチュードだと思いますがどうでしょうね。
さらに、「ツェルニー40番」を弾かせるより「モシュコフスキ15の練習曲」を弾かせたほうが音楽的美しさと訓練機能を兼ね備えていて良いと思うのです。
私自身は、どっぷりツェルニー練習曲に浸って育ちましたが・・。
ピアノ指導者という立場上、「好き、嫌い」という表現は避けたいと思います。
曲を弾く生徒の立場に立ったとき、ツェルニーよりも後者のほうが「弾きがいがある」ように思えるのです。
ツェルニーにかぎりませんが、あとからでも弾けますし。
私も、今でもツェルニー40番や50番などの曲を弾くことがあります。
個人のテクニックの弱いところを補うために適したエチュードを使いたいですね。
イヤなのに無理してツェルニーを弾いて、精神的なトラブルになるのは避けたいです。ピアノを辞めちゃう人もいるのでは??
これらのことを考える前に大事なことは、初歩のレッスンの段階で、しっかりとソルフェージュを指導して、読譜力や分析力を高めれば1曲の仕上がりも早くなるということだと思います。
なんのためにその教本を使っているのか。
だれのためにその教本を使っているのか。
指導者がよく考えて与えるべきですね。
音楽を美しいと思う心(気持ち)を育てて、美しい音で弾くために練習するのです。
この教本を使えば上手くなるから。。
それって、順序が違う気がします。
美しい、楽しいと思えなければ弾く気になれませんし、弾いても機械的でつまらないです。
現代の生徒の気持ちになって考えて教本選びをしたいものです。
もちろん、今までの教え方で全員が音大に進んだから・・というのでしたら、正しい指導法なのだと思います。
でも、音大に進まないのなら、少し与える教本を工夫する「思いやり」がほしいと考えながら指導しています。
教本選びは、とても難しいですね!
では、また明日[E:paper]