お客様「ダイジョウブ オカネ チャント アリマス。
ホラ ロクマンエン デショウ」びらっ
宮田「ほ、本当だ…しかし、いいんですか、
出会いがしらの俺の為にそんな…」
お客様「ワタシ オカネ アリアマッテマス」
宮田「ま、まあそれならいいんですけど、
食べ切れるんですか…?」
※結局食べきれず、残ったケーキとサイダーは
スタッフが美味しくいただきました

千賀「マジかよ…変わった人もいたもんだ」
板野「売り上げ6万円ってことは、みやっちパネルの所に
赤いシール60枚貼らなくちゃ!」
栗栖「うーん、お金持ちにしては服が安っぽいような?」
夜見「確かに妙な雰囲気を持った女性ね…」
伊達「妙な雰囲気の女性って…珠枝あなたが言うな」
相良「おーい、横尾、藤ヶ谷、二階堂、千賀、
茅野、伊達、夜見、栗栖。
緊急事態だ、料理班を手伝ってくれ」
8人「は、はい」

相良「と、いう訳で、最終局面でまさかの大逆転、
今日のNo.1ホストは、宮田に決まりましたー。王冠進呈」
宮田「ヤッター!」
玉森「あーあ、さっきまで1位、ミツと僅差で俺だったのに。
富豪一人で順位が変わる、これぞまさにホストの世界か…」
横尾「太輔がキングなら、宮田は皇帝だね」
北山「皇帝ってプルシェンコかよっ?!」
伊達「ところで、その富豪のお客様は?
そんなにみやっちが好きなら、
みやっちが王冠貰う所、見たいんじゃないの?」
宮田「それが、そそくさと帰って行ってしまったんだよ。
名前さえ頑なに名乗らずに」
藤ヶ谷「去りの美学ってやつかな。かっけえ」

みんなで謎のお客様に思いを馳せていると、
こちらも1日目に仕事を終え、他のクラスを廻っていた
谷内田さんと田部さんが息せき切って教室に戻ってきた。
田部「ねえ、誰かレベンカ見なかった?」
二階堂「神戸…? まだ戻ってきてないけど。
というか、仲良しの君らと一緒にいないんだ?」
宮田「ああ、みんなおかえり。
…それがさあ、聞いてよ。
相良社長の『男性コース・子供コースを作ろう』
って提案、俺にとっては大迷惑!
俺の最初のお客さんが子供で、
アニメの話で盛り上がったんだけど、
そしたら『あのお兄ちゃんはアニメの話が凄いよ』
って口コミで広がったらしく、
俺には子供ばかりが大挙の列をなしましたとさ」
藤ヶ谷「いいじゃん、子供相手とはいえ大人気で」
宮田「良くないよ、わんぱくで走り回ったり、
服や髪引っ張ったりしてくる子もいるのに。
しかも子供だから、時間と手間の割にお金使わない」
藤ヶ谷「…あっ、そうか」
宮田「きたみつ・たまと同じぐらい働いてたのに、
売り上げで大きく差をつけられちゃった。
さすがに体力きつくなってきたし、
もう時間的に売り上げでその2人に
勝てる望みもないから休ませてもらってるとこ」
伊達「ついてないねえ。
みやっち優しいから余計子供が来るんじゃないの」
宮田「褒められてもあんまり嬉しくない…」ずーん
重症だ!

相良「おーい、宮田。指名入ったぞ。
しかも子供じゃないぞ、ブロンドにサングラスの
お金持ちそうなお姉さまだぞー。
さあ、ガッツリ貢いでもらってこい」
宮田「あの人は相変わらず、お金、お金…
まあ、時間的に最後のお客さんだし、行ってくるよ」
伊達「が、がんばって…」

宮田「おまたせしました…あ、あれ、外国の方ですか」
お客様「ハロー ハンサム ボーイ。
ワタシ アナタ トップニ シテアゲタイデス。
チョット クロフクノ アナタ」
壱岐「は、はい」
お客様「イチバン タカイ サイダータワート ケーキ、
ジュッコズツ クダサイ」
宮田「えええええええ?」
よし、作戦は思いついた。
あとはどうやってそれを自然に言うかだ。

伊達「じゃあ、うちの番だね。問題です。
…あれ? がやさん、ふなっしーが落ちてるよ」
藤ヶ谷「えっ どこどこ!
…って、なんだよ。ちゃんと鞄についてるじゃん」

仮面「勝負あり! 藤ヶ谷さんアウトです!」
藤ヶ谷「えーっ、何で? …あっ、そうか。
『どこどこ!』って書かれてたんだ…」
伊達「その通り。やったね! キスマイ全勝は阻止しました!」
茅野「やるじゃん伊達。
しっかし、ふなっしーが落ちてるって聞いた時の
藤ヶ谷の反応ったら、なかったな。
あのクールな藤ヶ谷が目でっかくして驚いて、
ささっと四つん這いになって、床を探し回るとは…」
藤ヶ谷「恥ずかしいからやめろよ!
くそっ、完全に虚をつかれた…」
横尾「それだけふなっしー愛が本物だってことでしょ」
栗栖「なんか、かわいい…」
藤ヶ谷「じゃ、約束通り今日は俺の遊び代全部出してね、
クリスさんよ」
栗栖「は、はい…」

かくしてこの8人で1日中他のクラスを見て廻ることになった。
うちと珠枝は完全に棚からぼたもちだった。
見知らぬ女子たちの
『なんであんな地味女たちがイケメン軍団と一緒にいるのよ』
という嫉妬のまなざしが心地いい。
藤ヶ谷「あー、遊んだ、遊んだ。
さて、そろそろ教室に戻りますか」
栗栖「自分の分も含めると今日だけでお小遣いひと月分がパア…
隠し撮りの代償は重い」

教室に戻ると、ホストクラブはまだ営業中だった。
でも、ホストの筈のみやっちがバックヤードでノビていた。
二階堂「どうした? 宮田」