最適な取引時間:東京・ロンドン・NYの重なりで狙う通貨ペア
BY TIOmarkets
|11 12, 2025
取引でいちばん効くレバーは、派手なインジケーターでも複雑な計算でもなく、FX の取引時間の選び方である。
時間が変われば、参加者も、板(オーダー)の厚みも、ニュースの量も変わる。だから、同じ手法でも結果がぶれる。
その「ぶれ」を小さくする最短ルートは、各セッションの重複時間帯を基軸に据えること。
本稿は、東京・ロンドン・NYのリズムを地図化し、通貨ペアの選択・リスク管理・実務チェックまで一気通貫で整理する。
難しい言い回しは避けつつ、要点はプロ水準で。丁寧に、しかしテンポよく進める。
本稿のゴールと読み方
最初に結論だけ。リクイディティ(板の厚み)とボラティリティ(値幅)が同時に高まりやすい時間で勝負する。ここに尽きる。とはいえ、日々の運用に落とし込むには段取りが必要である。
本稿の流れは次のとおり。①セッションの地図 → ②各市場の「癖」 → ③重複時間帯の戦い方 → ④通貨ペアの選び方 → ⑤指標・イベント対応 → ⑥サイズとコスト管理 → ⑦毎日のチェック。
途中で、FX取引時間という背骨を何度か思い出してもらえるよう、要所で再掲する。
セッションと重複帯の地図(JST基準)
- 東京市場時間:おおむね 8:00–17:00(日本時間)。実需主導、クロス円が動きやすい。
- ロンドン市場時間:16:00–2:00(夏時間時は15:00–1:00)。欧州勢の参入で一気に板が厚くなり、方向が出やすい。
- ニューヨーク市場時間:22:00–6:00(夏時間時は21:00–5:00)。米指標・米株の流れが為替へ素早く波及。
- 最大の山場=ロンドン×NYの重複:22:00–2:00(夏時間時は21:00–1:00)。一日の「本番」になりがち。
毎朝の段取りはシンプルで良い。まず予定表を開き、赤字(重要)イベントと発表時刻をマークする。その際は、TIO MARKETSの経済カレンダーを起点に、前日高安やアジアのレンジも並べてメモしておくと、FX取引時間の「山場」が一目で見通せる。
東京:実需フローと仲値、静と動の切り替え
東京は、素直な実需フローが効きやすい時間帯である。五十日(5と0が付く日)は企業の支払い要因からドル買い・円安の圧力が出やすく、9:55の仲値前後にUSD/JPYが一方向に走ることも珍しくない。
ただ、全日トレンドが出るわけではない。むしろ「レンジ→戻り」の往復も多い。そこで、東京午前〜昼の高安を一本の「ものさし」にしておき、午後〜欧州入りで「ブレイクするのか、戻るのか」を見極める。これだけでエントリーの無駄打ちが減る。
ロンドン序盤:初動フェイクと本流、見せ場の前の関門
欧州勢参入直後は、最初の30〜60分で「軽いダマシ」が出やすい。東京の高安を一度だけ突き抜け、すぐに反転するような動きである。ここで焦って飛び乗ると、往復ビンタになりがち。
実務のコツは、一段目は様子見の短打、二段目の確定足で勝負をつけること。執行前には、TIO MARKETSのスプレッド目安を確認し、イベント前後の拡大余地も織り込んでおくと安心である。ロット(取引数量)はやや控えめで、広めの振れに耐える構えが無難。
ロンドン×NY重複:一日の「勝負所」
重複帯はニュースと出来高が重なり、日内最大の値幅が出やすい時間である。米雇用統計やCPI、ISMなどの主要指標がある日は、いっそう鮮明。
アプローチは大きく二つ。①順張り継続:欧州の流れをそのままNYで伸ばす、②スパイク後の二段目:発表直後の大波は見送り、最初の押し戻りだけを拾う。どちらでも良いが、ルールを一貫させるのが肝心。
この時間帯こそ「FXが動く時間だ」という前提で、利確・損切りの位置を事前に固定しておく。決めておけば、迷いが減り、判断が早くなる。
通貨ペアの選び方:時間帯×テーマで主役が替わる
- 重複帯の主戦場:EUR/USD・GBP/USD・XAU/USD(貴金属)・USD/CAD(原油連動も意識)。
- 東京の相棒:USD/JPY・EUR/JPYなどクロス円。実需フローと相性が良い。
- クセは強いが伸びる:GBP/JPYや金はボラが魅力。ただし滑り(スリッページ:約定ずれ)や逆行も大きいので、サイズは保守的に。欧州ではユーロ・ポンドが息を吹き返しやすく、米国テーマが強い日はドルストレートが本筋になりやすい。つまり、「欧州時間 のFXでは欧州通貨」、「NY時間では米国ストーリー」と覚えておけば、迷子にならない。
指標・イベント対応:避けるのも戦略、獲りにいくなら段取りを
万人に共通する正解はない。ただ、王道はこうである。
- 発表前はポジション軽め、あるいはノーポジ。
- 発表直後は一波を見送り、二段目だけを狙う。
- ロンドン・フィキシング(現地16:00)やNY10:00のオプションカットなど、時間固定のフローも忘れない。
「予定と時計」を味方にするほど、FXの欧州時間やNY時間の波に乗りやすくなる。「大きく獲る日」と、「控えめに刻む日」をカレンダーで分けるだけでも、資金曲線の凹凸はなだらかになる。
リスク管理:ボラにサイズを合わせる(機械的でOK)
勝率は日々上下する。だから、サイズは「機械的」に決めるのが速い。平均真の値幅ATRや直近レンジ幅から、損切り幅(pips)×ロット=許容損失を先に逆算する。
- 指標前後:スプレッド拡大と振れを見込み、ロットは半分に。
- 連敗時:ロット縮小→ルールの再点検。
- セッションまたぎの保有:原則回避(突発ニュースの影響が読みにくい)。
この「逆算」は手計算でもできるが、精度とスピードを両立するなら、TIO MARKETSの計算機を使うと手堅い。ピップバリュー、必要証拠金、損益を即座に算出でき、FX取引時間の最適帯に合わせたロット調整がブレない。
コストと執行:見えにくい差が、月次に効く
スプレッド、手数料、約定の安定性。どれも地味だが、積み上げれば月次・四半期の成績に直結する。
検証を始める前に、口座タイプとコスト条件を固定しておくことを強くおすすめする。条件が毎回違うと、手法の良し悪しが見えなためだ。運用の土台を揃えるなら、TIO MARKETSで検証用の口座をひとつ開設し、以後はその仕様(スプレッド/手数料/約定)で統一する。これだけでテストの再現性が変わる。
「曜日の癖」と「月末フロー」:小さく効く統計
体感では、月曜は薄商いで方向感に欠けやすく、火〜木はトレンドが出やすい。金曜NY後半は利食いの巻き戻しが出やすい傾向がある(もちろん例外は多い)。
さらに月末・四半期末は、株式と為替のヘッジ調整(リバランス)で「いつもと違う」フローが流れやすい。ここに気づいて、ポジションを軽くするだけでもドローダウンは抑えられる。FX 取引時間に「日付のレンズ」を一枚重ねるイメージだ。
セットアップ例:時間帯ごとに「型」を持つ
- アジア高安ブレイク(ロンドン追随)
東京で作ったレンジの上限/下限を、ロンドン序盤の二段目で抜けるパターン。初動のフェイクに注意しつつ、押し戻りを最優先で。 - ニュース後の順張り
発表直後は見送り、最初の戻り(または押し)を待ってエントリー。直近高安の外側にストップ。再現性が高い基本形である。 - オプション節目の短期逆張り
NY10:00(オプションカット)付近は一時的な均しフローが出やすい。過伸長からの短い逆張りで、小さく刻む。
毎日のチェックリスト(朝3分・夜3分)
- その日の重要指標(時刻・予想・前回)
- 欧州・英国・米国の要人発言予定
- 前日高安とアジアレンジ
- ロンドン・フィキシング/NY10:00オプションカット
- 主要通貨のオプションバリア観測(報道ベース)
- 翌日の見通しメモ(30秒でOK)
これだけで、「どこでFX欧州時間が効いてくるか」「どこが休むべき時間か」が一目でわかる。ルーティンは短く、しかし毎日。
まとめ:「時間で勝つ」を習慣に
東京は実需と仲値、ロンドン序盤はフェイクとの駆け引き、そしてロンドン×NY重複が本番。通貨ペアは時間帯とテーマで主役が替わる。指標は「避ける」か「二段目で乗る」かを事前に決め、サイズはボラ基準で機械的に。コストと執行条件は最初に固定。
「いつやるか」が整えば、「どこで入るか」の半分は自動的に決まる。明日からは、FX取引時間という背骨をあなたのルーティンの中心に置き、重複帯で静かに一貫性を積み上げていこう。
全部いい記事です。抜粋メモでも。
一つ前に指値ブログ書いています。