千秋楽を迎えて | よこけんの右往左往

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「よこけん」こと、 ミュージカル俳優、横沢健司のひびを綴った日記です。

  『エリザベート』2015、一人も欠けることなく、無事に千秋楽を迎えた。

 メインキャストにはメインキャストの、アンサンブルにはアンサンブルの、そして若者やベテランにもそれぞれの課題や目標があった事と思う。三ヶ月という長丁場の公演は、大きな目標に向けての程よく長い道程だった。百回のステージでは足りず、来年に持ち越しになった分もあるかも知れないが、それは一旦寝かせて、次回の新たな課題にするとしよう。

 新演出、一新され若返ったカンパニー、そして長い公演期間と、今回の『エリザベート』は、それほど大きな挑戦を孕んだ公演だった。


 僕自身、小池さんの作品には幾つか出演し、『エリザベート』にもかなりの期間関わってきたが、カンパニーの中で上から何人目というお兄さん的立場になり、また人の親となった事もあり、今回の『エリザベート』には並々ならぬ想いがあった。

 一言で言えば、責任感。開幕当初から、しっかりしなきゃいけないと強い危機感を抱いていた。

 これまで、あんまりしっかりした記憶がない。三十代のうちは、どのカンパニーでも年齢的に中堅のことがほとんどだった。稽古中は、演出補や歌唱指導、振付家といった頼り甲斐のある大人が沢山いる。ところが本番が始まったら、突然ベテランという立場で板の上に放り出されてしまった。「芝居」で『エリザベート』の世界を支えなければならないのだと気付いた。悩みの多い三ヶ月の始まりだった。

 いま、何処まで来られたのか、正直自分ではよく分からない。ただ、とても多くの事をこの三ヶ月で学ばせて貰った。

 この幸運な出会いに感謝し、値千金の経験を糧として、今後も舞台に真摯に向き合って行きたい。