そろそろ舞台に関係する事を書いてもいい頃かなと思うので、小出しにしていく。
今回、一番目からウロコだったのが、今自分が演っている役、「密告者達」 だ。
ちゃんと名前もあるが、作中では一回も呼ばれず、密告者との紹介だけで長い年月に渡ってハプスブルグ家の中枢を担っている。
前回までの公演中ずっと、密告者ってなんだろう?と思っていたが、今回の新演出版に際し、演出の小池先生から説明があって初めて得心がいった。
訳詞の都合で「密告者」と当てられているが、分かりやすく言うと、つまりは「スパイ」の事だった。アメリカのドラマでよく見る「CIA」や、日本だと「特高(秘密警察)」あたりのイメージか。そこのトップ二人が、「密告者達」の正体だった。
アメリカのドラマではーー大好きなので何度も引き合いに出すがーー大抵軍のトップとCIA局長は仲が悪い。現地のスパイ達が、一生懸命秘密工作をしてるのに、いつも大雑把な軍事作戦で台無しにされる。融通のきかない、厄介な味方として描かれることが多い。
そう考えると、『エリザベート』の中でもしっくり来る。軍と警察を一手に握る、強大な権力を持ったシュヴァルツェンベルク公爵は、あの二人にとって、まさに「厄介な味方」なのだろう。
腑に落ちなくても、演出家の目が鋭ければ舞台は成立する。が、俳優としては、腑に落ちたほうが俄然面白くなってくる。
後半戦も、重臣達を楽しんで演じていきたい。