プレイバック・和佳音 20
2014・10・11~愛媛・松山市~
卒業公演-。その言葉から伝わるものは、さみしさだけなのかな?って思っていたけど、そんなことはなかった。卒業する3人からはもちろん、見送る6人の表情を見ていると、いつも以上に楽しんでいるようにも思えた。当然のことながら、悲しいとか、さびしいとかの感情がないわけがない。どの世代であっても、感情は同じだ。でも、若さというものには、心の中にある曇りを一気に吹き飛ばして晴れにしてしまうパワーがある。笑顔が、その象徴だ。公演が進むにつれて、最初は涙顔だったメンバーも、いつの間にか笑っていた。
和佳音の笑顔は、とびっきりのもののように見えた。でも、泣きたい感情を胸の奥にしまって、卒業していく3人と最後のステージを楽しい時間にしようという思いで、歌って、ダンスをしているようにも感じられた。ウソをつけない、はっきりとした性格の子。彼女と出会ってから、時間は短いけれど、言葉の端々や表情の変化から、そんな性格だと分かってきた。いつもの定期公演の時のような、まっすぐで元気な笑顔とは明らかに違う。推しの子だから、ひいき目からかもしれないけれど、気丈に見せる笑顔が、たまらなくやさしく映った。
アンコール前最後の曲「AiCune参上!」。曲中に、それぞれが自己紹介をする定番の曲だ。ああ、9人での自己紹介は、これで最後なのか…。曲が始まった途端、そんなさみしさが襲ってきた。各メンバーが通常バージョンとは違う、3人への感謝の思いを込めたあいさつをしていく。「ドジっ子、和佳音は負けず嫌い」。いつもはそんなセリフの和佳音も「空ぽん、りさりさ、うーたん、大好き!」と叫んだ。短いけれど「大好き!」という言葉には説得力がある。これまで、いっしょに過ごしてきた時間のなかで育まれてきた思いだからだ。
アンコールでは、うーたん、空ぽん、りさりさの順で、それぞれがソロを披露した。3人はいつもはバックダンサーで、マイクを握っていない。だから、AiCune初心者の自分にとって、彼女たちの歌を聴くのは初めてだった。うーたんは「恋は止まらない」、そらぽんが「バズワード」、そして、りさりさが「恋のプリズン」。先輩・ひめキュンフルーツ缶の曲だった。それぞれが、思いのたけを歌声に乗せる。そして、ファンが声援でその思いに応える。いつも以上の一体感が、狭い空間に漂っていた。