プレイバック・和佳音 2 | フーテンの横チン

プレイバック・和佳音 2


2014・7・26~愛媛・松山市~
 丸顔で、笑うと並びのいい歯が見え隠れする。とても愛きょうのよさそうな笑顔は、高校時代のあの子とそっくりだった。近くにいた女の子たちと見比べても「その子」は目立っていた。どちらかといえば、きれいというよりは、かわいいほうかな。開始時間が間近になると、みんなが設置されていた舞台に上がっていった。このイベントは「いっぺん踊ろやBONダンス『道後湯玉音頭』」というもの。だから、道後温泉の浴衣を着ているのか。
 でも、盆踊りが始まると、自分のカメラは「その子」ではなく、違う女の子に焦点を当てていた。お面ごしに見つけ、この場所まで導いてくれた子のほうが気になっていた。ちょっと色が黒くて、笑うとモンチッチみたいにかわいい子。よく見てみると、後ろで踊っていた子と顔がそっくり。もしかして姉妹かな?そんなことを思いながらシャッターを切っていた。「その子」は、その姉妹らしき女の子が後方に通り過ぎて、目の前に来た時に撮るぐらいだった。
 しかし、だ。時間を追うごとに、やっぱり「その子」の笑顔が気になり始めた。大げさかもしれないが、撮っているうちに、まぶしく見えてきたのだ。元気のいい踊り。そして、あの愛きょうのある笑顔に引きつけられ始めた。撮っていて、楽しくなってきた。写真映えするっていうことは、このこと。だから、最初に注目していた子を撮って、そして「その子」を撮って、の繰り返し。シャッターボタンを押す回数が増えた。最終的には「その子」ばかり撮っていた。
 アイドルが踊っている時、ファンのみんながいっしょに踊っていた。なんだか、とても楽しそう。そうかあ、地元アイドルって、こんなに人気があるのか。イベントの現場に来て、初めて知った事実だった。インターバルの時には、アイドルのみんながカメラに向かってVサインをしたりしている。特に「その子」は人気があるみたいで、自分と同じようなカメラマンがレンズを向けていた。
 約50分のイベントが終わり、アイドルのみんなが笑顔で引き揚げていった。いつのまにか「その子」のとりこになっていた。なんていう名前なんだろうか?ナノキュンっていうグループの子?それとも、アイキューンっていうグループの子なのか??地元アイドル音痴のオッサンは、名前が分からないままだったけど、かわいい子の写真を撮って、満足感にひたっていた。