プレイバック・和佳音 1 | フーテンの横チン

プレイバック・和佳音 1

こんなにアイドルを好きになることは、おそらく最初で最後だろうなあ。AiCune・村田和佳音が2月28日の定期公演で卒業した。偶然、出会ってから7カ月あまり。アイドル音痴のオッサンは夢中になって彼女を撮り続けてきた。写真とともに、卒業までの軌跡を追ってみる。


2014・7・26~愛媛・松山市~
 学校が夏休みに入り、土曜夜市も始まっていた。ブログのネタ用に、風景でも撮りに行こうかな。そう思い、夕暮れにカメラを持って大街道に出向いた。出店が多く並び、水風船や綿菓子も売られていた。昔と変わらない、日本の原風景。キャーキャー騒ぎながら楽しんでいる子どもたちを絡めながら写真を撮っていた。仮面ライダーやウルトラマンのお面などを撮っている時だった。どこかで見たことのある女の子がファインダーの中に入った。
 某飲料メーカーのCМを見て、目がパッチリしていて、かわいいなあって思っていた子だった。でも、名前は知らなかった。うちわを持って、誰かといっしょに浴衣姿で歩いていた。こういう機会はめったにないから、写真を撮らせてもらおう。そう思って追いかけた。人ごみをかき分けながらあとを追っていると、大街道の入り口に、なにやら舞台が設置されていた。
 何があるんだろう?係員らしきハッピ姿の男性に聞いてみた。何か、あるんですか?「地元アイドルが、これから盆踊りをするんです」。地元アイドル?何ていうアイドルですか??「ナノキュンとアイキューンです」。ナノキュンはどこかで聞いたことがある。でも「アイキューン」なんてグループは、一度も聞いたことがなかった。
 正直、地元アイドルには興味がなかった。テレビでAKB48の番組を見るぐらいで、全国的にも有名な、ひめキュンフルーツ缶でさえ「変わった名前のグループだなあ」って思っていたぐらいで、CDも聴いたことがなかった。さきほどの男性に、あらためて聞いてみた。写真を撮ってもいいんですか?「いいですよ」。そうかあ。まあ、時間もあるし、せっかくだから見ていこうかな。そういう軽い気持ちで、開始時間を待っていた。
 開始10分前、アイドルらしき女の子たちがぞろぞろと現れた。若いなあ。けっこう、かわいい子がいるじゃん。高校生ぐらいかな。あの子はめっちゃ小さいし、どう見ても小学生だよな。そんなことを思いながら写真を撮っていると、ある女の子に目が留まった。肩までのセミロング。えらく線が細い子だな。後ろ姿だったけど、ミョーに気になる子だった。
 「その子」が正面を向いた。笑顔を見た瞬間、衝撃が走った。なぜって?高校時代に好きだった女の子が笑った時とそっくりだったからだった。もちろん、うり二つってわけではない。後ろ姿や髪型、そして笑い方。遠い22年前に毎日のように見ていた子と重なって見えたのだ。びっくり仰天とは、このことか…。すっかり写真を撮ることも忘れ、しばらく「その子」を見つめていた。そして、我に返り、初めて「その子」を撮ったのだった。