51歳になった陽子は、職場の鏡を見つめて、ルージュを引き直し、少し微笑んだ。
なかなか進まない離婚調停のこと、全く仕事のない職場のこと、、、
いろいろ悩みはあるので、結局映画を観るのが一番楽しいはずだと今日も5時からの映画をネットで予約した。
映画のオープニングの時、マナーやサービス、今後の映画が流れる時、陽子はなんとも言えないワクワクする気持ちになった
すでに母親になんの興味もない息子、いてもいなくてもいいような職場、映画を観るときだけ、ほんの少し、この時が自分の特別な感覚が戻るのだった。
わくわくする
この気持ちに素直に生きてみようと思った
人から特に何も期待されていないことも分かった
誰も見てないし、誰も聞いてないことも分かった
面白くもなんともない 毎日
ストレスがあった方が、まだ主役なのだった、、、
母親は優しい性格ではあったが常に不安を抱えていて、娘の陽子に承認や賛美を求めてくる。
それがなんとも気色悪いのだった。
親不孝な自分を呪いながら変えられずにいた。
先日買った、新しいジバンシィの香水をふっとふきかけると、銀座行きの地下鉄に潜り込んだ。