終戦特集で放映された映画。
2011年5月に亡くなった新藤兼人監督 の遺作。
広島に生まれた監督の実体験から生まれた
作品。
戦争末期中年の男たちが招集される。
どこに配属されるかは上官の「籤」に
よって決められるという理不尽。
このふたり、森川定三は南方の戦線へ。
松山啓太は兵士の詰所となる宝塚の清掃へ。
この理不尽さから始まりすべてが理不尽。
戦争とはこういうことなんだろう。
森川は生きて帰れるかはわからぬ身。
妻からの「一枚のハガキ」を読んだ証として
松山に自分の死後、妻へこの一枚のハガキを
届けほしいと頼む。
返事が書けない・・検閲があるから・・
妻友子が夫の両親と暮らす家
この貧しい家と一家をを定点観察するように
カメラは捉えていく。
夫定三の出征
定三の戦死
そして生きていくためにこの一家が選んだ道は
定三の弟三平と友子との結婚。
一方生き残った啓太が帰った家には
いるはずの父と妻が一緒に家出
妻と父に裏切られた啓太は探し当てた妻から
「淋しかったから・・」と・・
そんな妻に啓太は
「親父を捨てたら殺すぞ!」と・・・うううう泣けます。
当時の仲間100人中生き残った4人の一人
となった啓太は無気力な日々を送る。
定三から託された「一枚のハガキ」を届ける。
啓太とブラジル行きを決意した友子
だがこれ以上の「不幸」はないという
あの一枚のハガキも遺骨の入っていない
夫の遺骨箱もすべてが灰となり・・
ブラジル行きをやめ焼け跡に
「一粒の麦」を蒔こうとする二人
再生だ。
「生きている限り生き抜きたい」・・新藤監督の言葉です。
この映画にある夫の死によって夫の弟と
再婚するということは当時たくさんあった。
よんにゃむの同級生の母親もそんな一人だった。
戦死の知らせがあると近所同士で
その家にお悔やみに
行った。
よんにゃむも母に連れられて何軒もの家を
訪れた記憶は鮮明だ。
この映画の貧しさも悔しさももろもろの出来事の
理不尽さ。
そしてそのすべて事実だということが戦争の
悲惨さ無益さを物語っている。














