91歳のおばが、静かに旅立ちました。


 2年間、意識のないまま横たわっていたその姿は、時に切なく、時に祈るような思いで見守ってきました。

けれど、最後に肉体を手放した瞬間、不思議と悲しみだけではなく、やわらかな実感が私の中に広がりました。

 ──身体は消えても、魂は生きている。

 その確かさが、胸の奥から湧き上がってきたのです。

 肉体は、魂の器にすぎません。器が壊れても、魂は風のように自由になり、私たちのそばに漂い続けます。

思い出の中で笑う姿、声の響き、そしてぬくもり。どれも目には見えないけれど、確かに生きている。

 だからこそ、別れは寂しくても「失った」のではなく、「かたちを変えて共にある」のだと思えます。

 今、私はおばの存在を、空気の中にも、心の中にも感じています。

 そしてその魂は、これからも私たちを静かに見守り続けてくれるのでしょう。


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