何も知らない幼き頃。
そうとは知らずに毎日のように遊びに行く家があった。
Aさん。
私は彼を 『虫のおじちゃん』 と呼んでいた。
私は幼稚園から戻ると、毎日枕を持って彼の家に出かけていた。
大きな門扉は私の来訪時刻にあわせて開放してくれていたらしい。
縁側にあがり、まずはおやつをいただく。
幼稚園であった出来事を一番初めに報告するのは母に対してではなく、彼の奥様に対してであった。
その間、虫のおじちゃんはロッキングチェアに座り、洋書を読んでいた。
次に、虫のおじちゃんと一緒に、大きな池がある庭に出る。
セミがカマキリに食われている衝撃的なシーンは今でもはっきりと覚えている。
このときに、虫のおじちゃんが虫を捕ってくれる。
そして、持参した枕で昼寝。
時間になると母が迎えに来る。
今の時代、こんな光景はあるのかなぁ。
それにしても、当時の自分にもっと知恵があって、下心があれば接し方が変わっちゃってたんだろうな。
Aさん、某有名企業の会長さんだったんです。
この間、久しぶりに会いに行きました。
Aさんはどうせ暇だろうと思ったし、突訪。
『え!?よかっぺさん???おっきくなったわねぇ~♪』
『プッ、お子さん、小さいときのよかっぺさんにそっくりねぇ。』
奥さん、 『プッ』 って吹き出さなくてもいいでしょ~。
それに30歳半ばすぎの男性を捕まえて 『おっきくなったわね』 もどうかと・・・。
当時いつも不二家の千歳飴をくれたんだけど、今回も不二家の千歳飴をくれました。(笑)