朝の散歩で、白髪の御老人が歩いてくる、御近所の御老人である、
寝巻きを腕に抱え込んで歩いてきた。
数年前から、認知症を患っておられることは判っていたので、
どこに行くのですかと声を掛けた。
しっかりした言葉で、お久しぶりですと答えが返り・・・・ここまではまとも・・・
家に帰るところですと続いて言葉が出てきた。
御自宅は向かっている方向と反対方向である。
それじゃ我々と一緒に帰りましょう、その方が安心ですよ・・・と誘った。
ここからが頑固で、家はこちらの方向で病院の裏にあると強固に主張して譲らない。
向かおうとする方向は車の通りが多い道を跨いでいる。
危険なので再度我々と一緒の方向へ行こうと誘ったが結局駄目だった。
足早に帰り道、家の人に歩いて行った方向を教えてきたが、どうなったのだろうか?
随分前の事だが、やはり御近所のアルツハイマーの老女が、交通事故に遭い亡くなっている。
同年輩の健常者の止めるのも聞かず道を横断しようとしての巻き込み事故で、
止めようとした同年輩の同伴者共々亡くなっている。
町内には高齢者が多く、アルツハイマー予備軍は溢れている。
いざその時のために、家族で話し合っている事が必要だと痛切に感じた出来事でした。