テレビの無い時代、どの家庭にも家族の中央に「火鉢」や「ちゃぶ台」が置かれていた、
幼い従兄弟や友達が集まると、大人は大きな火鉢の周りに子供達を集め、
たわいのないゲームを始めてくれた、小さなミカンが景品につく、
全員が両手を握り前に出すと、 「ずいずいずっころばし、ごまみそずい」 と 歌いながら
大人の人差し指を順繰りに子供の握り拳の穴へ出し入れする、
歌の最後に指と穴が一致したらその拳は上がりとなり下へ降ろす、
両方上がれたら勝ちとなり、好きなミカンを選べた、
大きなミカンが欲しいため、皆必死でゲームに夢中になった
この歌は全国共通で当時の子供ならほとんど知っていると思うが、甘木地方には別歌があった
歌詞は次のようだった::
いっちゅくちゃちゅく、茶絵豆、あの子がの、のんのんじゃくしの、どうとんぼ
あれ踏んだり、これ踏んだり、うんとこ踏んだら、よかとこたい
キツネ袋、茶袋、まな板の弟子
前の共通の歌が江戸時代の、お茶壺道中を比喩して歌い継がれてきたとの記事は
本で読んだことがあるが、甘木の歌が何に基づいて、いつ頃から歌い継がれてきたのか
今になれば知るよしもない、伝承のほとんどが時代の流れに押し流されてしまう
鴨長明が書き残した、「行く川の流れは絶えずして元の水にあらず・・・」の一文を思い出した。