キ~さんのメルセデスのヨコに座り、ラクチンで中央道を河口湖方面に走っていると 前方に朝日に輝いて雪をかぶった富士山!
これが見たくて来たようなもんだからな。
だけど、登る予定の三方分山から見る富士は 朝のうちはどうみても逆光になってしまう。
ユックリユックリ行ったって昼前にはついちゃうし 太陽が真上を過ぎるまで待つ時間もココロのゆとりもない。
まあ、富士山が見えるだけマシ、ゼイタクは言えないか。
精進湖のほとりの県営駐車場にクルマを停め、7時過ぎにスタート。
このルートは去年歩いていて、迷う心配ないからな。
中道往還という道は、甲斐と駿河を結ぶ旧道で弥生時代には文化の交流に、戦国時代には武田の軍用道路、江戸時代には駿河湾で獲れた海産物や生魚を甲府盆地に迅速に運ぶ輸送路として利用されたという。
旧道に入ってすぐの神社に立つ「精進の大杉」と呼ばれる天然記念物の大樹を見物し、二人連れの特権?キ~さんに写真を撮ってもらい、
去年より もっと崩壊が進んでいる廃屋をヨコメに山道に分け入ってゆくと、
「クマの足跡じゃない?」
シカでしょ!
「ここ、クマなんているの?」
以前、あとで廻るパノラマ台のほうですれ違った若い人が朝、斜面を登ってるのを見たって言ってたよ。
キーさんは胸のポケットから笛を取り出して、「いざという時はこれがありますから・・・」と、吹こうとするので、
ちょっと、それ、オレが写真を一発撮ってからにしてね。その前に吹かれるとクマが逃げちゃうよ。
前を行ってもらった後ろ姿を見るとキーサン、シャレたバッグを背負ってるな。
とにかく今日は冠雪富士と紅葉とクマの写真が撮れたら最高と、獲らぬタヌキの皮算用をしてきたけど、来る時の高速で冠雪は見れたからなァ。
武田の軍が築いた?石垣を過ぎ、
道中の無事をお地蔵様に祈り、
ホコリタケのホコリを噴出させて、
終わりかけのトリカブトを撮って
2時間超で阿難坂到着。
「難」という字が示す通り、中道往還の中でも難所とされ、昔、身重の女性が道中で出産後、母子ともに亡くなったという哀しい歴史があって別名を「女坂」とも言うと・・・
去年は確か倒れていたと思った峠に立つ句碑もちゃんと修復されていて
「生魚の二十里は走る郭公鳥」と書かれているんだそうだが、目を凝らしても字が磨り減っていて判読できなかった。
そこから40分ほど もう一登りして三方分山到着、10時。
三方分山とは、旧村名である古関、八坂、精進の3村(いまは、甲府市、身延町、富士河口湖町)の境界にあったために付けられたことに由来するということだ。
東の開けたところから富士山と下に精進湖が眺められるが、逆光だし紅葉にはまだ早かったけど、まあしょうがないな。
おにぎりを食ってユックリしても、太陽が真上を通過して順光になるまでにはまだ相当時間がかかる。
行こうぜ!
そこからほどなく、去年は見落とした絶景ポイント。
尾根道のわかりにくいところを入るポイントへ、踏み跡を見落とさないよう、ここでもないこっちでもないと行くと、急に左手に木が払われている所があって、ここダッ!わかりやすいように木を伐ってくれていた。
太陽の光りの先が富士の頂上に届いて、逆光で頂の雪は判別できないけど、これはこれでいいか。
さ、次のパノラマ台まで1時間くらい?
途中で向こうからきた若者は、ヘルメット姿で胸にバインダーをつるして、用紙になにやら書き込んでいる。
クマの調査でもしてるのか?と聞くと
「クマじゃなくてシカです。」
この山にクマはいるのかと聞けば、いることはいるけど、尾根道には姿を現わしません。
「この先にクマがしたような大きな黒いフンがありますが、あれはタヌキのですから」
じゃ、ソレ撮ってクマのだって宣伝しとくか。
これだ。
獲らぬタヌキの皮・・・じゃなくてフンだな。
紅葉もこれから。
地味に上り返して着いたパノラマ台じゃ富士山はお隠れになっていて、近くにいた人は「さっきまで見えていたんですけどね~」
ま、しょうがねぇな。
左手に、登ってきた三方分山を眺め、さあ温泉入って帰ろう。
ここんところ、土日しか営業してなかった「いずみの湯」の前を行くと、営業中ののぼりが立っていて、ラッキー!
受け付けで、いつから平日でもやるようになったのかと聞くと
「つい最近です。」
逆にオレたちの格好をみて「山に登ってきたんですか?」と聞かれて
ここのオヤジ、あんなにアイソが良かったっけ?
二人だから、ほんとにユックリと露天風呂に浸かって出ると、オヤジさんはライン仲間から送られてきたという写真を見せてくれて「昨日撮ったものです」
え~、こんなにキレイなのが見れたの?
今日だって もう少し待てばこいう風になるんじゃないかと思ったけど、そこはぐっと抑えてキーさんのクルマに乗り込み、
帰りの圏央道の厚木の手前から、運転手越しに夕暮れの大山と富士山を少し恨めしげに眺めて帰って来たというワケでありました。
























