旅は道連れ 世は情けというけれど、スマホは電話と写真を撮ることだけにしか使ってないジーサンの一人旅は もう見かけた人に聞きまくって お情けにすがる旅。
伊勢神宮の鬼門に当たるという朝熊山の頂上に着いて八大竜王社の鳥居をくぐったが、金剛證寺の奥の院に行く道がわからずにグルリと一周してまた元のところに戻ってしまい、ちょうどそこにリュックを背負ったオバサンが来たので尋ねると ア~あそこの細い道か。
そのオバサンには、奥の院から戻ったときにもまた出合って、地元の人らしくしばらく立ち話をし「楽しんでってください」と送り出されて着いた金剛證寺でも、本堂にお参りしたあと 振り返ると大きな伽藍が見えて 手ぬぐいを頭に掃除をしていたおばさんに あの大きな建物はなにか?と聞くと
「中にお大師さまがいます」
えっ、どういうこと?と聞き返すと
「弘法大師です。弘法大師が中にいるんです」
まるでまだ大師様が生きて中にいるかのように話してくれ 少し戻って・・・とにかく裏から入ってるからな・・・ガラス戸の中を覗いたが 光りの関係でよくわからずに バチアタリ?
天空のポストではリクエストに応えて、小学生が竹ボウキにまたがって2回もジャンプしてくれた。
伊勢神宮の内宮外宮を駆け足で巡って帰りの伊勢市駅に着いたのは、予定してた列車の発車15分前。
来る時は2両編成で1号車の半分だけが指定席、2時間も立って帰るんじゃしんどいと 窓口で指定席を申し込むと 駅員がディスプレーの画面をじっと見詰めておもむろに「サイゴの一枚ですね~」
向かい合わせの4人席、ちゃんと車掌さんが検札にきたが 他の3人はまだ10代?かなり若い女性達でずっとスマホを見っぱなし。
窮屈この上ない座席で寝るに寝られず身体をアッチ向けたりこっち向けたり、ついには通路側に足を投げ出してヒザを組み 反対側の窓の 暮れ行く外の景色をながめ・・・
松坂を過ぎたところにまた車掌さんが来て
「あちらの二人席が空きましたから、よろしかったらどうぞ」
よほど疲れたジーサンに、見えたんだろうな。
そりゃありがたい、と席を移動すれば、
「お荷物はこれですか?」
と網棚に載せてあったリュックまでこちらに運んでくれて、今時のJRはサービス満点だな。
名古屋駅に着き、マイク片手にアナウンスをしてるその車掌さんに向かって ありがとうと言えばそのままうなずいてくれて、人生初のお伊勢参りの旅も 人の情けにすがって無事に終わったというわけでありました。