大型だと言われる台風7号に追い立てられるように、暗いうちにヨコハマを出れば 前方に八ヶ岳が見え 降っていた雨も止んでここらあたりまでは勢力は及ばないんだろ。
クルマがいない中央道をすっ飛んで、駒ヶ根インターから菅ノ台バスターミナルに着いたのが6時過ぎ。
台風のお陰でお客さんが普段の半分以下ですよ、という係員にロープウエーは動いてるんだろうね。
菅の台発6時20分のバスが駒ヶ根橋を渡るときに宝剣の姿が拝め、却って人は少ないし絶好の登山日和だな。
目指すはアレだ!
駒ヶ根神社に無事を祈ってイザ!
去年も、叔父さんの初盆に行く前に登ろうと思ったけど やはり台風の余波で風が強く、岩場に取り付いたところで怖気づき、初盆に間に合わなくなってはいけないと自分に言い訳して撤退したからな。
近頃このあたりでも雷鳥が目撃されてると聞き、キョロキョロしながら、
それでも風はソコソコあって寒い。
長袖を着込み、その上からダウンのベストも。
あざみ
このあたりの時期になると華々しい花は終わっていて、
チングルマもすっかり綿毛。
雲が流れてるな~。やっぱり台風の影響はあるんだろうな。
ヒマワリの小型版のウサギギク。
誰とも会わずに稜線の極楽平到着
右奥に御嶽山が見える。
やっぱり稜線は風が吹き渡って温度は14度、寒いワケだ。汗もかかねぇ。
三ノ沢岳。
何年か前は宝剣に登ってからここを往復して、危うくロープウエーの最終便に遅れるところだったが、今はとてもそんな元気はない。
あれだな。
そこに向こうからヘルメットをしたオジサンがやってきて
風はどうでしたか?と聞くと
「宝剣からコッチは風邪裏のルートが多いからそれほどでもなかったですけど、行くんですか?」
オレのムギワラ帽子を観ながら、「経験はあるんですか?」と聞いてきて 2度ほど・・・
それじゃ気を付けてと行ってしまい、もし風で麦藁帽子が飛んで あっと手を挙げた拍子になんて考え、ここからは不要なストックと一緒に岩陰にデポして、
ここだ。
去年、あきらめた場所を通過・・・
落ちたら、ヘルメットしてたって死ぬダロ。
見えた。
と思ったが もう一山も二山も越えなければならぬ。
印を慎重に見極め・・・
帰りに、知らずに間違ったところに踏み込んだからな。
大文字草か?
なかなかワイルドなルートだが、やっぱりオリンピックはマジメに見るべきだな。
あの壁をよじ登る競技の、岩の角をつかむところなんか大いに参考になってる。
鎖と岩のあいだに指を挟んで、風呂に入るときにヒリヒリしたけど・・・
もう半分以上来てる。
確かに山の裏を通るルートなので、唸りをあげてる風の通り道以外は それほど気を遣わなくて済んだ。
この三角のあいだをヒザを突いてくぐり、
前はこの岩の上に立って写真を撮ってもらったのに、今日はダレもいない。
ロープウエーの駅が小さく見えて、
お~、着いた。
左手奥が駒ケ岳に続く道?
宝剣にはこれで三度目、三ノ沢岳にも二度登ってるのに ジマンじゃないけど、駒ケ岳はいまだ行ったことがない。
宝剣岳・標高2931m
小さな祠にお賽銭をあげ、ナニが剥いて持たせてくれた梨でカンパイ。
岩だらけの山頂から振り返って檜尾、空木方面。
帰りは一層慎重にと言い聞かせ、一歩一歩確実に足を付き、両手で岩を掴み、お尻まで支点にして・・・
上がってきた雲の中をホシガラスが飛び、
帰りなのに またあそこをよじ登らなければいけないんか。
♪まっさかさまに落ちてディザイアー
振り返ると、今登ったばかりの宝剣はもう雲の中に隠れて良い時間に登ったな。
岩間に咲くチシマギキョウ。
どこに足を突くんだ。
サルの綱渡りじゃないぞ。
緊張の連続で疲れを知らず戻ってきて、ストックと 風で飛ばされないように重石をいれておいた帽子を回収。
トウヤクリンドウ
イワツメクサ
ここの固有種のコマウスユキソウ。
まあ、今は夏だからな。
尾根道からロープウエー駅に行く道に曲がり、相変わらず吹き上がってくる風は強いけど、ロープウウエーは休止になってないだろうな。
チングルマ
ナナカマドの実。
無事に降りてきてロープウエー待ちにアイスカフェラテ。
カップにここの標高の2612mがプリントされていて、宝剣までたった300m登っただけかよ。
窓の向こうに見えるハズの南アルプスが壁になって、台風の風も弱まってるんだと。
帰りのバスの窓から二年前にメイの子供と降りた檜尾尾根。ヤツも高校三年生で山登りどころじゃない?
バスターミナル横の温泉で汗を流し、本日のメインイベント 故郷信州飯田時又の花火見物に中央道を南下。
メインイベントは墓参りだった。
両親の墓と、叔父さんの墓参りを済ませ 盆で来ていたイトコに 天竜橋の上流の河原がいいと思うが?
と聞くと、あそこは花火会場より上だから、灯ろう流しが見えないよ。
まあそれを差し引いても この思い出深い橋を入れた構図をずっと考えてたんだ。
子供の頃ここでよく遊んだから場所はわかっている。
お爺さんがいたころは あの橋の上から 七夕の笹飾りを川に向かって放り投げた。
橋は建替えられて二代目らしいけどいろいろ思いだしながら、今は堤防ができ降りるのに苦労しながら ダレもいない河原に陣取って 開始時刻の7時にサア、今か今かと待ち構えても花火が上がらない。
おかしいなと時計を見ると もう2分も過ぎたころ最初の一発がド~~ン。
ヨコハマの花火は時間ピッタシだったけどな。
それでも 橋の下に山なみが連なって、いい場所だったと自画自賛。
ヨコハマのように20分で2万発なんてことはなくて、
一発、一発 腹に響く大きな破裂音が峡谷にこだまして やっぱり田舎の花火はいいな~。
時間とともに暮れなずんでゆく空も良し。
確か赤石岳に登ったとき、アソコの頂上直下の避難小屋の親父が ここから飯田の花火が見えるって言ってたな。あのオヤジも去年だか歳で引退したって言ってたけど、どこかで花火を見てたらいいな。
お爺さんは、花火は いびつではなく真ん丸く見えるのが良いのだと教えてくれたけど これなんか満点だろ。
両岸を渡るナイアガラが橋の赤さを目立てさせて、
涼しい川風に吹かれながら夢中でシャッターを押し続けて 会場のアナウンスも聞こえない上流は 予定時間の10分も前に終わったのを知らずに 次に上がるのを今か今かと待ち続けていたのでありました。