宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」で、銀河鉄道に乗って 主人公のジョバンニと一緒に旅をする友達の名がカンパネルラ。
カンパネルラもカンパニュラもイタリア語で釣鐘を意味するそうで、賢治の故郷には釣鐘型をした山があり、そこから名前をとったとも・・・
「銀河鉄道の夜」はフシギな童話だったな。
ジョバンニが星祭の会場に向かう途中で どこからともなく汽笛が聞こえてきて、
辺り一面は満天の星空になり、頭上を飛び交っているのは「銀河ステーション」という不思議なアナウンス・・・
いきなり目の前が明るくなったと思ったら、ジョバンニは小さな列車の赤いビロードを貼った座席の上に座っている。
すぐ前の席には濡れた黒い上着を身に纏った少年が窓から外を覗いていて、よく見てみると友達のカムパネルラだった。
少しだけ顔色が悪くてどこか体調も優れない様子で、一緒に乗る予定だったザネリは先に帰ったと言う。
カムパネルラが頻りにぐるぐると回しながら眺めているのは、黒曜石でできた石板の上に美しい光が散りばめられている銀河の地図で、この汽車はもうじき白鳥の停車場に到着して、その後には南十字星へと向かうと・・・
列車が天の川の中を通過し ジョバンニが外の景色に見とれているうちに、さっきまで席に座っていたはずのカムパネルラの姿がない。
そこには黒い帽子を被った博士がいて、ジョバンニのポケットに切符を忍びこませた。再びカムパネルラに会うためにはこの切符を持っていくこと、学校でしっかりと勉強すること、夢の鉄道ではなく本当の世界を歩いていくこと。
博士の言葉を聞いたジョバンニが目を開くと、そこは見慣れた丘の上。大通りに出たジョバンニは川に架かった橋の上にたくさんの野次馬が集まっていることに、胸騒ぎを覚え近づくと・・・
いじめっこのザネリが溺れ、それを助けるためにカンパネルラが川に飛び込んで犠牲になったと。
ジョバンニは現場に駆け付けたカムパネルラのお父さんに銀河鉄道のことを話したかったが、喉が詰まって何も言えず、
出稼ぎに行っていた父が帰ってきたことを聞かされ、目に涙を浮かべて家まで走っていくのだった。
白いカンパネルラに朝日が射して、さてマゴのお供でヨドバシに行くか。