テンクラの予報では火曜も水曜も晴れ。しかし火曜は風が強い。念のために、帰りに入るつもりの天目山温泉のホームページを覗いたら水曜定休日。じゃ火曜に行くしかないな。
昨日の朝4時起きして玄関を出ると 風がピュ~~~と吹いて サブッ!もう行くの止めようかと弱気に・・・
♪ 風に戸惑う 弱気な僕
通リすがる あの日の幻影
だが、前日にクルマを停めさせてもらう”ペンションすずらん”に電話して 道は凍ってないかと聞いたときに 「山登りですか?道は大丈夫ですが寒いから気をつけてください。帰りには是非寄ってって」と言われた手前、しょうがないから行くか~。
6時前に着いたペンションの駐車場では、ずっとイヌに吠えられながら身支度を整え 温度は?とみるとマイナス10度を下回ってる。
だが、予報に反して風がなく、これなら歩いてるうちに暖かくなるな。
真ん中にちょこっと富士山がアタマを出してるのが見え、今日は隠れることもないだろ。
雪が凍ってツルツル。
早速チェーンスパイクを付け、ガリガリと音を立てて、これならクマ鈴もいらんな。
1時間ほど登り、シカ防御柵のネットを越えたところの切り株で一休み。向こう側に朝日が差し込んでいる。
この、牛奥ノ雁ヶ腹摺山は 最初に道迷いしてから妙に愛着が湧いて、今日で8回目。
すりおろしリンゴを 三分の一飲んで、さっ行くか。
ここは頂上から左に折れて 大菩薩まで行ったり、右に行って黒岳から白谷ノ丸まで歩いたが 今はもうそんな元気はないけど 行けたら大菩薩の途中の小金沢山までの往復の予定で・・・
右側の林の向こうに富士山が見え隠れするのを、ちょっとアップで撮ったり、
苔好きに雪と苔のコラボのサービスショットを撮ったりしながら 登ってると ウンッ?
これはシカの足跡だろ!
知らぬ間に シカの後を付いていって道をロスト。
雪が固く締まってるので 踏み跡が薄く、しかも少ない。
そして多分、木の枝に残ってた雪が風で落ちて 足跡を消してるから わかりにくいことこの上なし。
2度も道迷いし、まあ道迷いは慣れたもんだから冷静に廻りを見回したり戻ったりだったが、帰りはよほど慎重にやらないと、またエライことになるぞ。
緊張して登ってたせいか、疲れも感じることなく”パノラマ岩”到着。
前の杉の木が大きくなって富士山を隠し、パノラマじゃなくなってきたが、
こちら側は、甲府盆地を覆うように南アルプスの絶景が拡がっていて、そこから10分も行けば、
例の縞枯れの景色。
山の自浄作用の一つで 樹の下には幼樹が育っているというが・・・
雪道をザクザク言わせながら、この道を、この景色を見ながら歩きたくてこの山に登ってるようなもんだからな。
いろいろな動物の足跡が入り乱れ、
立ち枯れの樹の 向こうに見える富士山もいい。
朝日がやっと顔をだして、
6時スタートの8時半、2時間半かかって到着。
一応、温度は?と見ると マイナス13~4度か?
朝、ローソンで買って来た ”わさびいなり”をパクついて、
さっ、もう一息 小金沢山まで。
なんか心もとない案内板だな。
大菩薩峠まで続く、小金沢山系の尾根筋を行く道だけど こういうなだらかな雪原もあり、
見渡せる山々は秩父山系?
こちら側には やっぱり富士山。
ウシオクから1時間もかからずに着いた~。
一応2000m越えの標高がある。
半分食べて残ってたバナナをほうばり、サッ帰るか。
なんか春も もうすぐそこのような雰囲気。
あぶね~。シカの足跡についてっちゃうところだった。
木の根のところに溜まった水が凍りついて、踏んでも割れないし結構厚いな。
ふくらみ始めた木の芽を撮り、帰りの温泉なんかを思い浮かべてたら、
怪しい雲に風が出てきて やっと予報通りになってきたか。
それにしたって 冷たいな。
頬がチクチク痛くなって こんな感じは寒い信州の子供の頃以来じゃないか?
あれから相当、ツラの皮が厚くなってたと思ったけど。
ウシオクまで戻り、
富士山をズーム。あちらの風も強そう。
来る時に道迷いしたあたりを、赤テープを慎重に見極めて下っていると
本日の第一山人と遭遇。というか こんな時間から?
もう12時近くだよ。
80歳過ぎてるというこの人は 高速のSAで仮眠をとりながらアチコチの山に登ってるといい、この山はあの縞枯れの景色が好きで、もうアソコまで行けば山頂を踏まなくてもいいって、同好の志がいるんだな~。
雪で道が怪しいところがあるから気をつけて、と見送り あのジーサンが登ってきたんじゃ 目印につけた笹の結界も破られてると思ったけど、
ウン、そのまま?
あの人、どこ通ってきたんだ?
麓まで下ってきたら松の木に、空気中の水分と光合成だけで生きてるという”サルオガゼ” 発見。
このまえTVを見てたら 中国雲南省の山奥に住む”金絲猴(キンシコウ)”と呼ばれる猿は、これだけを食べて生きてるんだってね。日本でもこれを煎じて飲むと男は浮気封じに女はヒステリーに効くというから ダレか試してみる?
ヤドリギもたくさん。
宿り主の樹は葉を落としてるのに、間借りのほうは青々として、
下を見ると、実が落ちてる。
花屋で3000円出して買ったという人がいたから、この実を育てて商売するかと拾ってきたけど・・・
登ってきた山を下から眺めるのも良し。
カラマツ林も青空に変わり、
クルマを停めさせてもらった、ペンションすずらん。
奥さんが、寒かったから暖かいほうがいいでしょうと出してくれた 山椒の若芽を煮て刻んだ?のが入ってた山椒蕎麦は 初めて食べる味だったけど絶品だな。
これを飲みたいために山に登ってるといっていいくらいの”山ブドウジュース”をご馳走になり、
武田三代勝頼、終焉の地の天目山に湧く温泉。
ここに入りたいために山に登ってるといっていい温泉に浸かって、まあ良い山行きだった。