大学受験に失敗しウツウツと過ごしていた18歳の夏、親同士が知り合いだった伊豆河津の叔父さんに誘われ 1週間泊めてもらったことがあった。

 

 

 

今のような河津桜のニギワイもなく、海沿いのひなびた田舎で 夕方 温泉だからと協同浴場に連れて行ってもらうと そこは混浴! 入口は別だったが 中に入るともうもうと立ち上る湯気の向こうに白い身体が浮かんで どぎまぎしたものだった。

 

 

 

海に潜ってイセエビを獲ったり家の前を流れる河津川で鮎を釣ったりし、サイゴの一日は叔父さんに連れられてバスで天城峠まで遡り八丁池までのハイキング。この天城隧道の右脇の階段がハイキングコースの入口だが、

 

 

 

その前に ちょっと トンネルの先をのぞこうと中に入ると

「上から水が垂れるから気をつけなよ」と言われ

 

 

 

「・・・暗いトンネルに入ると、冷たい雫がぽたぽた落ちていた。南伊豆への出口が前方に小さく明るんでいた」

 

川端康成の「伊豆の踊り子」の一節そのままの光景を見た。

 

 

 

その後二度三度 ここに来ては ここから上ったんだと階段を見つめてたが 山登りを始めるようになって ついに56年ぶり?のセンチメンタル・ジャーニーにシュッパ~ツ!

7時半だから 1時ごろに降りてきて あの泊めてもらったおじさんの家の河津桜一期生の桜を見せてもらおう。

 

 

 

まったく知らないで河津の桜祭りに出かけた8年前?この家の前に人だかりがしていて「かじやの桜」という名前で河津の桜番付で西の横綱を張ってるんだと聞かされてビックリ。河津川の河原で発見された原木から苗を作った一期生の桜を育てた叔父さんは随分昔に亡くなっていたが オレより一つ下の息子があとをついで 今は町会議員?

盛大に咲かせるコツはなにかあるの?と聞くと「皆さんがキレイキレイと褒めてくれるとイッパイ花を咲かせてくれます」と政治家の答弁・・・

 

 

 

八丁池まで片道3時間ちょいかかるみたいだけど、あとがあるからあまりゆっくりもしてられないしな。

池をまわる周回コースだけどやっぱり平日、トンネル下の駐車場には1台の車の姿もなく、出会ったのは下りの途中ですれ違った1組3人のみ。

 

 

 

トンネルの上にある天城峠、ここまでで もう駐車場から1時間かかってる。

 

 

 

 

あと2時間・・・

上り御幸歩道というのは、昭和5年に天皇がこの道を歩いたんだそうだ。

 

 

 

天城山中からも富士山が見える。

今日のテンクラ予報は登山に適さないC!

天気は良くても強風が吹き荒れるというもので、確かに風は吹いていたが歩いていればうっすら汗をかくほどで、ダウンのコートはずっとリュックの中。

 

 

 

しかしあれから56年か~。確かにこの道を歩いたんだろうが記憶には全く無い。

56年・・・オレはなにをしたんだろうな。

 

 

 

放置されたワサビ田。

 

 

 

あれ~?こんなようなところだったな。

あの時、蝶々を捕まえる大きな捕虫網を持って登っていると フジバカマかヨツバヒヨドリだったか背の高い花の周りをアサギマダラが数十頭も群がって飛び回る夢のような光景を 網を振るのも忘れて呆然と見つめてたな。

 

 

 

トラバース道はワイルドだが 上のほうでは すごい風の吹き渡る音がするのに ここは 斜面が風除けになっていて、調子ッぱずれの♪天城~越え~を唄いながら

 

 

 

日陰の道は凍っていて、ツルンといかないよう歌もでない。

今朝だって、凍結注意の電光掲示の峠道をヒヤヒヤしながら走ってきたからな。

 

 

 

つらら。

 

 

 

あと20分!もう10時半 ここまで3時間かかっているやないか。

 

 

 

そうして”展望台”の看板にちょっと足を伸ばすと、ブナ林に囲まれた「天城の瞳」の別名がある結氷した八丁池が見渡せ、その上に ちょこっと富士の頂。

 

 

 

ここは、天然記念物のモリアオガエルの生息地だとも教わったなぁ。

 

 

 

あの時は暑い盛りだったが今日は氷の上に足を乗せて、精神年齢は 少しも進歩してねぇな。

 

 

 

腰を下ろし、氷結した八丁池を眺めながら足柄SAで買ったシャケオニギリをほおばって一息。

どこにも動く影はなく だ~れもいないところで一人ぱくつくオニギリの味は乙なものだ。

 

 

 

ちなみに、朝飯は同じ足柄SAの中の吉野家の牛丼だった。

 

 

 

サア、帰るぞ。

行き返り予定を1時間オーバーの6時間半かかってクルマに戻り 着替えを済ませて イザ河津へ・・・

 

 

 

叔父さんの家に着いたが 垣根の上に盛大に咲いてるはずの桜の姿が なぜかスカスカ。

まだ満開に早いのか?

 

 

 

 

 

門を入ると上のほうに枝が無く、表に出ていた「かじやの桜」の看板も無い。

中に入って呼び鈴を押すと、議員さんは散歩中だと言い 奥さんが「上のほうがだんだん枯れてきて 毎年枯れた枝を切ってるんです。今年の花は今までで一番小さくて それも11月ころから咲き出して なにかヘンなんです」 と・・・

 

 

まだ五分咲きくらいだけど、そう言われれば こころなしか小さく見える。

 

 

 

寿命なんですかね~、まあ美人薄命っていうし。

 

 

メジロはそんなこと関係なく熱心に花の蜜を吸い、オレももう 桜祭りをやってる河原のほうには行かずに来た道へユーターン。

 

 

 

途中でクルマから見た民家の河津桜原木はまだまだ元気だったけど、諸行無常 盛者必衰、生あるものは必ず滅びるということだな。

 

 

 

折角ここまで来たのならと 伊豆の踊り子と学生さんが座る初景滝を見て、

 

 

 

近くの茶屋で とろろ蕎麦。

ワサビを擦ってお待ちくださいと言われ、出てきた蕎麦の上に乗せて食ったらツンときたけどうまかった。

 

 

 

56年前にはなかったループ橋を グルグル走り、

 

 

 

天城隧道だけじゃ片手落ちだろと 足が痛いのに浄蓮の滝まで長い階段を降り、

 

 

 

わさび沢を見て帰ったら、

 

 

 

♪30,000歩越え~~

 

 

にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ

にほんブログ村

 

にほんブログ村 ゴルフブログへ
にほんブログ村