3月にオッコチした現場に、どうしても もう一度行って気持ちのケリをつけたい。それにあの時キズだらけで入れなかったブナの湯の露天風呂にゆったりと浸かりたいと夜明け前に出発すれば18夜くらいの月が光って、昨日はびっしょりで風邪をひきかけたが今日の天気はマチガイなさそうだな。
帰りに撮ったゲート。
この手前までクルマで侵入して路駐、他に数台停まっているのは みんな渓流釣りの連中だろ。
オレも山に登るのではなく、落ちたところから延々と歩いた林道を逆に行ってみようということ。
ついでに、そのちょっと奥にある大又沢ダムも覗いてこよう。
あの時は2時間半も歩いたけど、ここまでクルマで突っ込めば2時間足らずでいけるだろ。
昨日の豪雨で道にまで水が流れ、空気はひんやり 長そでを着込み、ゲートのところにクマやイノシシが出るって注意書きがあったから、コーナーを曲がるたびにその先を覗き込んでいねぇだろうな~。
ウツギの白い花が崖のあちこちに咲いて 目を楽しませてくれる。
♪ 卯の花の匂う垣根に~と童謡にあるが、これは余り匂わなかった。
垣根に咲くヤツと山に咲くウツギは 種類が違うのか、それとも雨に打たれたからか・・・
川の瀬音、鳥のさえずり、文句のないハイキングだな。
大きく息を吸って肺の中の空気を清涼なものと入れ替えて・・・
あっ、タンコブを冷やした水場だ。ここらで行程も半分くらいかな。
口にふくんでクチュクチュしてペッ、飲み込めなかった。
見覚えのある橋だ!
笹子の滝。
あの時は痛いのをガマンして写真を撮ったな。
新緑がまぶしい。
昨日の雨で水かさも増して 水音がスゴイ。
朝日が射してきて7時か。
5時半にゲートを入ったから1時間半、そろそろだろ。
山藤?
こんな光景も見たような・・・
マムシ草。
ここも通ったな。
法行橋っていうのか。昔 坊さんが修行したのかな?
もうそろそろだろ。
なんとなくヒザの怪我した部分がうずいてきた。
いい道だな~。
時折、竿を担いだ人が行ったりきたりすれ違って、川の様子を見ながら歩いてゆく。
オッ、こんなところに堰堤。
コノマエは見なかったように思うけど、歩いてる方向が逆だし、あの時は帰りたいココロでイッパイだったからな~。
おじさん、ルアー投げてるよ。この池は立ち入り禁止って看板があったけど、そういうところほど釣れるんだよな。
2時間過ぎた?
なんか、あんまり見覚えのない橋だな~。
千鳥橋?
また道、マチガエてるんじゃないだろな。
こんな崩れたところ通ったか?
あの時は必死で記憶がない?
怪我した足で、夢中で通過したのかも・・・
スマホの時計を見ると、すでにゲートから2時間20分経過していて、こりゃいくらなんでも来すぎだろ。それに大体、いつのまにか川が左手を流れてるのがおかしいやろ。
そこへ、うしろからハイカーの兄さん。グッドタイミングやないか。
帽子を取って挨拶しながら”大又沢ダムっていうのはこの先ですか?”と聞けば
「いや、手前に水の溜まったところがあったでしょ?あそこですよ」
え~、アレっ?
”この先はどこまで行くのか?”と聞いても「私も初めてでわかりません」
とにかくオレはどこで間違えたのか引き返すしかないが、子供の頃からダムといえば天竜川にかかる大きいのしかイメージになかったから、あんなのがダムだなんて思いもしなかった。
ダレかさんに注意力不足って言われたけど、むしろ思い込みが深すぎるんだな。
まだ”ダム”のところで釣りをしてるおじさんを眺めながら引き返してると、
あっ、ここだ!見覚えのある地形。上がってきたときはまったく素通りしてしまったけど、やっぱり逆方向から見るとわかるんだな。
というか、あの時は葉っぱがまだ出てなかったから、その向こうの崖が見渡せたんだが 今はまったくスタイミーになってる。
道路から急なところを下に降りて木立の向こうまで行けば、ここだよ!
改めてみると、すげぇ急だな。
よくこんなところを上から降りてきたもんだ。一回転の途中でぶつかった白茶けた岩。落下地点は今日は水が流れていて もし今日だったらずぶ濡れだった。
切り株に腰をかけてバナナとパンで初めての休憩をして、よし気持ちの整理もついたし半そでになってサッ帰るぞ。
帰ってブナの湯だ!
途中で振り返るとアレだよ。あれが権現岳、あの左手をずっと降りたんだな。
大きな捕虫網を持ったおじさんが上がってきて
”蝶ですか?”そうだというおじさんに”ワタシもチョウチョ大好き、今頃のターゲットは?”
「カラスアゲハの春型とウスバシロ蝶ですかね~」
獲れるといいですね、と別れ
例の水場を過ぎ、
まだ水の流れる林道をテクテク。
山繭?
結構 注意力はあるだろ?
薄羽白蝶だろ!
おじさん、いないか?
大又沢川と世附川の合流地点。
渓流釣り師が、自分の入るポイントを示しておくところ。
そうして、5時半から5時間に及ぶ感傷?ハイクも終わって
念願のブナの湯の露天に浸かって帰ってきたのでありました。