風薫る五月である。
例年なら今頃は、里山に鯉のぼりが泳ぐのを横目にながめながら新緑の山を登ってるはずなのに 朝から、ヒマならゴミ出しに行ってきてと頼まれ 朝飯を食ったらやることがない。
いつもの年より2週間も早くに咲いたサクランボの花は、実がなったと思ったら早くも色づいて そろそろ食べ頃?
ネーブルの やっと開きかけた白い花には、ヒトスジアゲハがせわしなく羽をバタつかせながら密を吸ってまわり、一見平和そうに見える光景も 世の中は緊急事態、それも まだ1ッヶ月は続きそうってんだから・・・
外にレジャーシートを敷いて本を読み出してもすぐに飽き ウトウトしてたらマゴが起きてきて「なにしてるの?」
毒味係りさせるかとサクランボを一つとって、”ホラ甘そうだろ、食べてみな”と差し出したら 「ジジが食べてみてよ」
おっ、そうきたか じゃあどれ、と口に含んだら ”うっ!”
「スッパイの?」
おいしそうな色とはウラハラに 甘酸っぱい というか思ってたより まだすっぱさが勝っていた。