
お盆に山に登り、 ついでに日も暮れかかったが墓参りに行こうと
信州の故郷の街を走っていたら、めったに降りることのない踏み切りの遮断機が下がって
単線の上り電車が通りすぎる・・・
10歳の時、母と妹二人にオレの4人、この電車に乗って東京に行ったんだ。
父はこんな田舎で洋画専門の映画館をやったり、工場をやったりしたがうまくゆかず
全てを手離し、先に一人で東京に出て アパートを探してからオレ達を呼んだ。
初めて行く東京。
線路の果ての、まだ見ぬ大都会に 言い知れない不安を覚えながら
飯田線を乗り換えた中央本線の、蒸気機関車の車輪の大きさにびっくりし、
新宿駅に迎えに来てくれた父と乗った山手線の窓から、初めて海を見て
アパートのある町では、まるでお祭りのような人の多さにびっくり。
しかし、あの時覚えた不安なココロのざわめきは あれからず~~と気持ちの底にあったな~。
ゴルフで、最初のショットを打つ時の、あの気分と同じ・・・
オレも いよいよ第4コーナーを廻って、サイゴのホームストレッチ。
故郷に帰るたびに覚えていた胸騒ぎは、最近になってようやく落ち着き、
ココロ穏やかに 山や川や街並みの風景を懐かしめるようになった。
夏の果て 少年の日よ 鎮まらん
@戯作