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「じ~さん、生きてりゃ いくつになった?」

夕食の支度をしていたナニに聞けば

「4年前だから98? 東京オリンピックの年が、ちょうど100歳よ。」



父の誕生日は、うるう年のうるう日の2月29日。

オリンピックの年にしか誕生日は巡ってこず、「オレは4年に一回しか年をとらないんだ」といばってたが

いつも、前の日の2月28日に祝っていた。




6年前に脳梗塞で倒れ救急車で入院、半身不随となって車椅子。

ボケ症状も出始め、そのまま家に帰らず老人ホームに直行した。



最初のうちは家に帰りたいと たびたび言っていたが、 

そのうち、置かれた状況がわかっていたとも思えないが 

訪ねれば、部屋のベッドにヨコになってたり車椅子にチョコンと座ってたりで、

家のことは言わなくなった。



とにかく、何一つ自分ではできず 食事を始めとして ホームのみなさんにお世話になりっぱなし

穏やかなときは良いが、機嫌の悪いときは手を挙げたりして、もどかしさもあったんだろうが、

こちらは恐縮して謝りっぱなし・・・



自分では立つ事もできないので、窓の外を眺めるということもできず、

行って 桜の時期だ、モミジだクリスマスだと話して聞かせば 

わかっていたのかどうか、ウンウンとうなずいていた。




ホームの生活が長くなるにつれ、意思の疎通も難しくなってきた ちょうど今頃の季節?

「梅の花が咲いたよ」と告げれば

「庭の梅が見たいなぁ」と ぼそっとつぶやき


え~~~?



一瞬、アタマの中にホームから家までの道順を浮かべ

ここから車椅子押して あの坂を上がって下り、国道沿いの道に出て ずっと行って

また家までの坂を押して上がるか、一時間もありゃ行けるだろ。




という衝動に駆られたが、冷静になって考えるとあの急坂、車椅子押してじゃちょっとムリ?

それっきり、オレも父もなにも言わずに・・・




只今、介護の真っ最中という人もいるだろ。

しょうがないよな、親だからな。

順番だよ。



そのうち自分の番になる?

だけど、なんか ああいうところに入るのはゴメンだなぁ。

もっとあっさりと、確率的に言えば 一番が自動車事故、二番が山の遭難

三番目がゴルフボールに当たって とか。


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庭の梅が今年も満開に咲きました。

梅の小枝を切って、98回目の誕生日をお祝いしよう。