
冬はつとめて。雪の降りたるは言うべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでも
いと寒きに 火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。
かの清少納言は、冬はつとめて。つまり 冬は早朝が一番だと言っている。
雪が降ってりゃなおいいが、霜が降りて白いのも美しいと。
寒いから、炭に火をおこして持ち歩くのも冬らしくて似合ってる。
春はあけぼので、冬はつとめて、そんなに朝早くがいいというのは
清少納言もこれを書いたころは結構 歳がいってたのかな? という話はおいといて・・・
先週の金曜の寒い朝、オキナワ出身の50歳のヤツが 胸が痛いと言ってるというので
あわてて階段を駆け下りれば、椅子にヨコ座りで心臓の辺りを押さえてる。
「だいじょぶか~?」 と聞いても痛い!というので、半分冗談で「救急車呼ぶか?」と聞けば
「お願いします」
マヂかよ。オオゴトじゃん。
119番!
「火事ですか?緊急ですか?」 会社の奴が胸が痛いと言ってる・・・
「今朝は寒くて緊急出動が多く、救急車が出払ってます。
管外からまわすので少し時間がかかるかもしれませんがお待ちください」
一度、救急車の車内から電話があり 10分ぐらいしたらピーポー、
制服を着た隊員6人がドカドカと入ってきて
床に寝かせてた奴に症状を聞きながら、酸素吸入だ血圧測定だ、脈測定だと手際よく
奴の住所氏名年齢はオレが答え、そうだ奥さんに連絡しなくちゃ、と奴のスマホを開いてもパスワード?
ストレッチャーに乗せられ苦しんでる奴に、パスワードだけ打て!とスマホを渡し
奥さんに連絡をとって救急車に同乗、近くの大学病院まで付き添った。
緊急搬送の待合で30分、若い医師がでてきて
「心筋梗塞ですね。血管が詰まってますので、これからICUで処置します」
あいつはオキナワ出身だから、ここんところの東京の寒さがこたえたんじゃない?
オレのシロート考えには答えず、ナースさんにICUの待合室まで案内され 又、待つこと1時間。
いいですよと言われて面会すると、痛みはもう治まった。
フトモモから管を入れ、詰まってたものを取り除く いわゆるカテーテル手術?
日曜日のゴルフの後半、ピロロ~ンと奥さんからメールで
「お世話になりました。管も抜け、今日から一般病棟に移りました」
すぐに返事を返したほうがいいのか、パーティーのときでいいかと迷った結果が・・・3パット4回。
そして今朝、今度は音無しの救急車がすっときて隊員が一人、「患者さんの様子はいかがですか?」
今時は、えらくアフターサービスがいいんだなと思ったら
「このまえ、このくらいのワッカが落ちてませんでしたか?」と指で7,8cmの輪を作り
「血圧計のまわりのリングなんですが・・・」
それなら、ありましたよ。なにかとおもってたけど、と 掃除した奴が取り出して
「あ~、ありがとうございます。助かりました。また よろしくお願いします」って
オイオイ、もうこちらはあまりお願いしたくないけどねと 送り出して 暖かい午前中に病院にお見舞い。
道中、普段は気にも止めないピーポーピーポーの音がヤケに耳につきながら病室に入れば
オキナワらしく、早くもヒゲが伸びかかった奴が 「お世話になりました。軽度だったのでよかったです」
病院の15階からは新宿の高層ビル群が浮かび上がり、
清少納言は、「昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、炭櫃火桶の火も白き灰がちになりて、わろし。」
昼になって暖かくなると、炭も白くなって今一つだというが、
まあ、ほっと一息つき 病院の窓から見おろす 早くも霞み立つような都会の景色も そう悪いもんでもない。
週末は節分、そして立春だもんな。