
行くつもりだった山梨の峠へ続く林道が、雪のため通行止め。
じゃ、山はあきらめて富士五湖のほうへ 年賀状用の写真を撮りに行こう。
ナニと犬を乗せ まだ暗いうちに出立、駿河湾の夜明けを見ながら行けば

明るくなった窓外に富士山!
だが、新富士で降りて朝霧高原のほうに向かうにつれ 雲が覆ってきて
精進湖までたどりつけば、ナンダヨというくらい富士の姿が見えない。
戌年の来年用に、この湖のほとりで富士山をバックに犬を撮ろうというもくろみはあっさりオジャン。

パノラマ台!近所の人に聞けば 登るのに1時間くらい・・・
ナニはイヌイットが履くようなブーツ、オレだって普通のスニーカーだけど、
登山道じゃなくてハイキングコースだからな。行くか!
それに 登ってるうちに雲がどっかに行くかもしれないしな。

犬と兼用の水のペットボトルを持ち、犬の散歩で歩くのは慣れてるというナニだが、
オイ、ダッコなんかしてったら疲れるぞ!過保護だろ。

それでも、木立のあいだから朝日が差込み始めると、
犬もゴキゲンで歩きだし、

あちこちクンクン嗅ぎ回って、いつもと違うケモノ?の匂いがするか?

積もった落ち葉に、犬はずっぽり埋まりながら歩き、

ガケ、落ちるなよ。
枯れ葉は滑るぞ。

下にスタートした精進湖が見える。
はあはあ息が切れだし、山に登るなんてこれっぽっちも思ってなかったから
いつもの乾くモンベルの下着じゃなく 木綿の下着は汗ビッショリ。

ナニもヒートテックの下着は汗を熱に換えるとかで、暑いといいながら

まだ涼しいカオで登って、いつもどんだけ散歩してるんじゃ。

富士山があるはずのあっちは、相変わらずの雲。

来るときの外気温は1度とか1.5度の表示だったが風がなく
オレもナニも上を一枚脱いで腰に巻き・・・

あ~~~! 大声を出せば
「どうしたのよ、驚かさないで」
ホラ、富士山が見えるぞ!
しかも、下には雲海、頂上には笠雲?

もう、犬に合わせてゆっくり登ってる場合じゃない。
早く登らないと雲海が消える。
この尾根道にぶち当たったら、あと10分と案内板に書いてあった。

あとは一本道だからと、一人で先を急ぎ、

もうそこだ!

ひゃ~~、すげぇ!
なんという景色!
樹海の上にあこがれの雲海、富士山、笠雲。

登ってきた甲斐があったってもんだ。

犬と水をワケっこして、一休みしているうちにも雲海がだんだん消えて
やっぱり早起きはするもんだな~。

下り始めたら、ちゃんと登山の格好をした人達が何組もあがってきて、
よかったね~早く来て・・・
こんな格好で登ってるところで出合ったら ちょっとハズかしい?下りでよかったわ。
それに、今からじゃ雲海が消えちゃうだろ。

相当降りてきてから、ナニはこんなところを登ったんだと驚いてたが
最初は夢中でそんなもんだよ、今度 登山靴買ってやろうか
いらん?

裸になった落葉樹のあいだから また精進湖が見えてきて、
今日は大正解だったな。さあ、道路が混まない内に早く帰ろ。