
「サマージャンボ、いっぱいお持ちしましたぁ」
黒いスーツ姿の、M銀行26歳の女性行員がニコッと笑顔で
宝くじが詰まったビニール袋を取り出した。
「いらねぇ~よ、そんなに。 どうせ、当たんねぇ~し。」
「そうおっしゃらずに、夢を買うと思って・・・」
決まり文句を言うけど、大体胴元が半分も持ってくバクチが他にあるか?
競馬だって25%、あの悪名高い野球賭博は10%だぞ!
よほどアッチの方が上品に思えてくる。
「もし、3億当たったらどうします?」
「そんなもん、アタリケン持って逃げるに決まってンだろ」
「そうですよね~、私も悩んでるんです」
「何を~?」
完全に向こうのペースだ。
「もし当たったらどこで換金するか・・・
自分の支店だと、マネーロンダリングのチェックにひっかかって
大きなお金が移動すると、身元がバレちゃうから・・・」
くもり空の七夕、白いカラーとギリで買ったタカラークジ。
余計な心配をするこたぁねぇ。
叶わないのが夢だから・・・