悔しげな彼女と かけこむ Pacific Hotel
うらめしげに ガラス越しに 背中で見てる渚よ
腰のあたりまで 切れ込む 水着もみれない
熱めのお茶を飲み 意味シンなシャワーで
恋人も泣いてる あきらめの夏
サザンの「夏をあきらめて」がハヤるず~っと前、
まだ茅ヶ崎にパシフィックホテルがあったころ・・・
免許を取ってすぐだったから19歳の夏だったか、
京都から訪ねてきてくれた友達と二人で、ホテル一階のレストランに入った。
午前中のホテルはガランとして、若いウェイトレスが手持ちぶさたにこちらを見ていた。
オレたちはコーラを頼んだ。
しばらくして、ウェイトレスが注文の品をはこんできた。
彼女がコースターをテーブルに置き、その上にコーラの入ったグラスを置こうとした瞬間、
オレはサッとコースターを取った。
ホテルの名前が入った、紙のコースターを記念に持ち帰りたい。
上にコーラを置かれて、濡れちゃあ困るのだ。
彼女は少し笑って、もう一枚コースターを持ってきてくれた。
そのコースターには、電話番号と「電話してね」というメモが書いてあった。
初めてのことに驚いて、一気にコーラを飲み早々とホテルを出た。
出る時、チラッと彼女を見ると、目を伏せていた。
そんな時代だった。
そんな時代もあったなァ。
♪岩影にまぼろしが 見えりゃ虹が出る
江の島が遠くに ボンヤリ寝てる
このまま君と あきらめの夏