tokyo 10月
秋の夜長―静寂(しじま)が突如襲ってくる。胸が押し潰されそうになる―
秋はいちばん好きな季節だ。だけど少し哀しい。
そんなことを思ったのは何時からだろう、とユウヤは芝公園のベンチで考える。随分昔からだろう、きっと。
オレンジ色に輝く東京タワーを眺めながら、大きく肺に冷たい空気を取り込む。
ひんやりと良い気持ち。
周りには一組の若いカップルとホームレスと思われる小汚い老人がいるだけだ。
「東京タワー好きなんだ」
いつだかユウヤは友人に話した。
相変わらず、それは抜群の存在感を放ち少しも自分のことを隠そうとしない。
もう十月も終わりだ。
ユウヤは腕時計―年上の女から誕生日に貰ったカルティエ―を一別する。
9時半を指している。
「もしもし、俺」
「いま会える?」
「わかった、じゃあ30分後に『バラニー』で」
携帯電話でその年上の女―15歳年の離れた人妻―に電話をした。
捨てるのはこっちだ、そう決めている。でもそれは今じゃない。
秋はいちばん好きな季節だ。だけど少し哀しい。
そんなことを思ったのは何時からだろう、とユウヤは芝公園のベンチで考える。随分昔からだろう、きっと。
オレンジ色に輝く東京タワーを眺めながら、大きく肺に冷たい空気を取り込む。
ひんやりと良い気持ち。
周りには一組の若いカップルとホームレスと思われる小汚い老人がいるだけだ。
「東京タワー好きなんだ」
いつだかユウヤは友人に話した。
相変わらず、それは抜群の存在感を放ち少しも自分のことを隠そうとしない。
もう十月も終わりだ。
ユウヤは腕時計―年上の女から誕生日に貰ったカルティエ―を一別する。
9時半を指している。
「もしもし、俺」
「いま会える?」
「わかった、じゃあ30分後に『バラニー』で」
携帯電話でその年上の女―15歳年の離れた人妻―に電話をした。
捨てるのはこっちだ、そう決めている。でもそれは今じゃない。
