2014年
3冊目
「鏡姉妹の飛ぶ教室 〈鏡家サーガ〉例外編」
佐藤友哉
講談社ノベルズ
- 鏡姉妹の飛ぶ教室 (講談社ノベルス)/講談社
- ¥1,048
- Amazon.co.jp
これぞ、佐藤友哉。
あの『クリスマス・テロル』から3年。
おかえりなさい、佐藤友哉。
佐奈を待つもの――それは死か?それとも死か??
誰もが365日分の1日で終わる予定でいた6月6日。
鏡家の三女、鏡佐奈は突然の大地震に遭遇する。
液状化した大地に呑み込まれていく校舎を彩る闇の色は、
生き残った生徒たちの心を狂気一色に染め上げていく――
衝撃の問題作、『クリスマス・テロル』から3年の沈黙を破り、
佐藤友哉が満を持して放つ戦慄の〈鏡家サーガ〉例外編。
あの90年代以降の「失われた」青春の全てがここにある!
みんなで飛ぼう!!
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さて。
久しぶりに読書レビューやりましょうかね。っと。
この小説は講談社ノベルズから出ております。
〈鏡家サーガ〉というシリーズものとしては、
「フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人」
「エナメルを塗った魂の比重 鏡稜子ときせかえ密室」
「水没ピアノ 鏡創士がひきもどす犯罪」
という本編3作が出ていて、私は全部文庫化してから読みました。
例外編の「飛ぶ教室」はいつ文庫化するのかなー、と思って待っていたのですが、
待てど暮らせど文庫化しない・・・
そんな折に本屋で見つけてしまい、
これは買うしかない!と購入した作品です。
結局今になっても文庫化はされておらず、
ある意味であの時の決断は正しかったのではないかな、と自負しております。
(ただ、同時期に同じような気持ちで買った「灰色のダイエットコカコーラ」は
買ってすぐくらいに文庫化されてショックを受けましたが・・・)
おっとこれは本の感想じゃなくて私の心情ではないか。
と我に返って感想を書こうと思うのですが、
なにぶん結構前に読んだ本なので記憶が定かではなかったりする。
まあとりあえず、平日の真昼間から突然地震が起きて、
校舎がずぶずぶと地中に沈んでいくわけです。
日常から非日常への突然の転落。
傾き、歪み、窓からの景色は土砂で覆われている校舎。
このような事態が町全体にひろがっていすとするならば、
これまで確かに存在していた「価値観」は、崩壊しているのではないか。
スクールカーストやら、レゾンデートルやら、そういうものが
揺るぎ、壊れ、ばらばらになった生徒たち。
向う見ずな行動力と過剰な自意識がぱんぱんに詰まった生徒たちが、
閉ざされた校舎でどのような行動をするのか。
というのが主題なのかなぁ。
なかなか一言では説明できないですが。
そんな生徒の1人である鏡佐奈。
特異で異端で異質な鏡7兄弟の中でも、
「普通」というある意味強烈な個性を与えられている鏡家三女・鏡佐奈。
同じく校舎に閉じ込められている妹・那緒美を救出するため、
鏡家の誇る兄弟愛を遺憾なく発揮して行動する佐奈の前に、
様々なキチガイ生徒が立ちふさがる!
っていう感じですかね。
今ここまで書いて、
「あ、これまとめられへんやつや」
と思ってしまったのですが、
どうしましょう・・・
えっと、とりあえず、個人的には好きな作品です。
メフィストエンタメ系でデビューして、
その後、文芸の方に手を出す前の過渡期的な感じが何となくしてて、
考えさせられるのに、ひたすら青春汁がまき散らされてる感じがして、
そういう、精神年齢を上げて読むべきなのか下げて読むべきなのか、
斜めに見てシニカルに嗤えばいいのか真正面から真面目に受け取ればいいのか、
そういうのがごちゃ混ぜになってる感が心地いいですね。
多分そういうのを決めずに読むのが正解なんでしょうけど、
やっぱり全く考えずに読むのは難しいのでそれが難儀なところです。
・・・これ、レビューになってるんでしょうか?
なってないように思えて仕方ないですが・・・
まあ・・・・いっか( ̄ー ̄;