55冊目
「蒼天航路 三國志外伝 曹操をめぐる五つのミステリー」
藤水名子
- 蒼天航路 三國志外伝 曹操をめぐる五つのミステリー/講談社
- ¥1,575
- Amazon.co.jp
後漢帝国末期、歴史を変えるひとりの男がいた。
武将であり、政治家であり、詩人でもある彼の名は曹操。
若い頃より奔放が故、型破りの戦術で多くの敵を戦かせた。
禁酒令の裏に隠された事件
偽装された女官と衛士の心中
曹沖の死に纏わる謎
曹操が言葉を失った理由
夏侯惇が斬った謎の男の正体
『三國志』の悪名高き英雄に降りかかる五つのミステリー。
超人気漫画『蒼天航路』のスピンオフ小説。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
5編収録の短編集。
あらずじと呼応させると、
「噂をすれば曹操」―――禁酒令の裏に隠された事件
「孔雀東南に飛ぶ」―――偽装された女官と衛士の心中
「遺されしもの」―――曹沖の死に纏わる謎
「孤城落日(スランプ)」―――曹操が言葉を失った理由
「深夜行」―――夏侯惇が斬った謎の男の正体
というラインナップです。
一世を風靡した三国志マンガ「蒼天航路」を下敷きにした、言うなればスピンオフですね。
作者の藤さんは元々中国歴史小説がメインフィールドで、私も以前に「公子曹植の恋」だけは読んだことがあったのですが、実は蒼天航路の大ファンだそうで。
そういう意味では、自分のフィールドで辣腕を振るえるシチュエーションなわけですが・・・
ファンと公言するだけあって、曹操をはじめ、曹丕や夏候惇や荀彧等々、原作にも出てくるキャラクターたちの特徴はしっかり押さえていて、違和感はありませんでした。
しかし、そんな「蒼天航路」な登場人物達の台詞回しが、全然「蒼天航路」じゃないことに違和感バリバリで・・・
どうせならそこまで忠実にやって欲しかったな、なんて思いながらも、そこまでやってしまうと「蒼天航路」になりすぎるからこそこういう手法にしたのかな、なんて思ってもみたり。
どういうスタンスで読むべきなのかがちょっと判断つかなかったのが、惜しいな、と個人的には思いました。
まあその辺は、「蒼天航路」の読者以外のお客さんを考慮したのかもしれないんですけどねぇ。
でも、「あいやいや」って言わない荀彧なんて、「蒼天航路」の荀彧じゃないやい!と思ってしまったんですよねぇ・・・・
というわけで、「蒼天航路」ファンが読むよりは、これを取っ掛かりに「蒼天航路」を読む流れのほうが良いのではないかな、なんて思いました。