15.「シンメトリー」誉田哲也 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

15冊目
「シンメトリー」
誉田哲也
光文社文庫




100人を超える死者を出した列車事故。

原因は、踏切内に進入した飲酒運転の車だった。

危険運転致死傷罪はまだなく、運転していた男の刑期はたったの5年。

目の前で死んでいった顔見知りの女子高生、失った自分の右腕。

元駅員は復讐を心に誓うが…(「シンメトリー」)。

ほか、警視庁捜査一課刑事・姫川玲子の魅力が横溢する7編を収録。

警察小説No.1ヒットシリーズ第3弾。




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普段はあんまりドラマ化で話題になっている作品は買わないのですが、というか「ドラマ化決定!」なんて帯が付いているのを見ると買う気が失せる天の邪鬼な私なのですが、面白いよと貸して頂いたので読んでみました。



「東京」
「過ぎた正義」
「右では殴らない」
「シンメトリー」
「左だけ見た場合」
「悪しき実」
「手紙」

という7編収録です。



タイトル一覧もほんのりシンメトリーになっているという、ちょっとした拘りがニクいですね。



読んだ感想として、「ああ、私はこれほどまでに警察小説に馴染みがないのか」と痛感しました。



犯人がいて、それを追う人がいて、というのは普段読んでる推理小説と同じなのだけど、推理小説って基本的に最後に全部まとめて披露するじゃないですか。



でもこの作品は、足を使って徐々に事実が明らかになっていくので、どうもカタルシスがあんまり味わえなかったんですよねぇ。



まあ、この本だけで「警察小説はこんなのだ」とひとくくりにするのは乱暴にすぎますけど、まあそれだけ普段から警察小説を読んでないってことですな。



あと、姫川が捜査方針を決める時も、結構勘頼みというか、インスピレーション勝負なことが多くて、そこも馴染みがないので今ひとつしっくり来ませんでした。



推理部分はそんな感じに不完全燃焼感があったものの、人間ドラマは結構いい感じでした。



表題作の「シンメトリー」もよかったですが、「過ぎた正義」が一番好みだったかな。