67.「ブレイズメス1990」海堂尊 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

67冊目
「ブレイズメス1990」
海堂尊
講談社




国際学会に出席する垣谷に同伴してフランスのニースに降り立った世良は、学会に出席する心臓外科医・天城雪彦に、佐伯院長からのメッセージを届けるという密命を帯びていた。



その密命とは、天城を、世良たちが属する東城大医学部に招聘すること。


学会をドタキャンした天城を探すため、モナコのカジノへ赴いた世良が見たのは、患者に全財産の半分を賭けたギャンブルをさせ、勝ったものにしか執刀をしないと宣う天城の姿だった。



金銭を至上のものとする天城に反発する世良だったが、天城の鮮やかな手技に魅了され、日本行きを渋る天城にギャンブルでの勝負を申し出る…




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「ブラックペアン1988」の続編に位置する作品です。



ぺーぺーの研修医1年生だった世良もちょっと成長して、少々頼もしくはなっているのだけど、海千山千の先輩たちと比べるとまだまだ若輩者。



前作では高階と渡海に振り回された世良が、今回はまたまた天城に振り回されまくります。



その天城がまたカッコいい!



外科医としての能力はピカイチなのだけど、日本の医学界ではかなり型破りな天城が巻き起こす嵐は、東城大医学部を、そして桜宮市の医学をどのように変貌させるのか?



「ブラックペアン1988」では、敢えて高階と渡海をぶつけた佐伯院長が、再び高階を天城にぶつける。
その意図はなんなのか?



こんなとこで終わるのかよ!と言いたくなるほどの場面で打ち切られた物語は、このあとどのように進展するのか?



続きが気になって仕方ない!!







※ここから「桜宮サーガ」全体のネタバレをちょっとだけ含む、今後への期待を語ります。











日本に帰ってきた天城の最終目標は、東城大医学部と完全に切り離された、独立採算の心臓外科専門医療機関・スリジエハートセンターを設立することだ、というのがこの「ブレイズメス1990」で語られるのですがね。



ちょっと調べたところによると、桜宮サーガの中核を担う「白鳥・田口シリーズ」は3作構成で、その3作目が「スリジエハートセンターの崩壊」という作品になる予定だったそうです。



崩壊、ということは、天城の企ては頓挫するのだろうか?



確かに「白鳥・田口シリーズ」では、スリジエハートセンターという名の医療機関については一切触れられていなかったけれども。



スリジエハートセンターが頓挫するという私の予想が正しければ、それはいかなる理由なのか。



そして、気になる点がもうひとつ。



元々この作品は、「ブレイズメス1991」というタイトルだったそうです。



ということは、翌年には既に何らかの事態が生じているというに等しい訳で…。



「極北クレイマー」ラストで出てきた、これまでのキャラと全く違う世良の姿は、何を意味するのか。



いやもう、本当に、続きが気になりすぎるよ!!