23冊目
「花物語」
西尾維新
講談社BOX
「薬になれなきゃ毒になれ。でなきゃあんたはただの水だ」
阿良々木暦の卒業後、高校三年生に進級した神原駿河。
直江津高校にひとり残された彼女の耳に届いたのは、「願いを必ず叶えてくれる『悪魔様』」の噂だった…。
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神原がメインと言うことで、こりゃあもう暦とガチンコエロネタ対決があるんだろう、と思っていたのですが、全然違う内容でした。
年度まで変わってるとはかなりの予想外。
暦の前では常に快活で謙虚で殊勝な後輩だった神原が、一人称で語る自己の内面。
それは表の顔からは想像できないほど後ろ向きなものでした。
西尾さんらしい話ではあるものの、物語シリーズらしくはない話ですね。
相変わらず見事に読者の期待を裏切ってくれます。
駿河が『悪魔様』と出会い、そのことで、折り合いをつけたはずの覚悟がいとも簡単に不要なものになってしまう。
当の駿河は当然戸惑い、その理不尽さに怒りにも似た感情を抱くものの、喜んでいる自分がいることを否定できなかった。
しかし・・・
というあたりからがこの「花物語」の主題なんでしょうね。
誰も得をしない。
誰も助からない。
誰も幸せにならない。
誰も何も変わらない。
だけど、行動する。
だからこそ、行動する。
取るべき「実」には目もくれず、目立つだけで役に立たない「花」を取るように、
動きは派手なものの、成し遂げたところで得るべきものが何もないこの物語。
その分、胸に残るものがあるような気がしました。
うーん、自分でも何を言ってんだか分からなくなってきたのでこのへんでやめときます。
さて、次回作が出るのって確か今月だったはず。
楽しみですねー。