69.「化け猫とめまいのスキャット」上遠野浩平 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

69冊目
「化け猫とめまいのスキャット」
上遠野浩平





音梨町に住む輪堂進は、中学生。
同じマンションの隣に住む同い年の幼馴染み・真駒以緒と先輩の相原亜子と進の3人しか部員のいない写真部に所属し、平凡な学生生活を送っている。



そんな弱小写真部に新しい部員が入部してきた。
無子規憐という名の転校生の少女は「君は何かを見ているはずだ」と進に言い、なにかと絡んでくる。



「なんのことだか分からない」と返す進だったが、実は帽子とマントを身に着け奇妙な鳴き声で鳴く猫が気になっていた。
その姿も鳴き声も、周囲の人達は気付いていないようなのだが…



同じ頃、統和機構最強の合成人間フォルティッシモが、音梨町を訪れた。



この町で、合成人間セロニアス・モンキーが『スキャッターブレイン』という言葉を残して姿を消してしまったため、調査に派遣されたのだ。



腕利きと評されていたセロニアス・モンキーがなすすべもなく消されたとも思える状況。
未知なる強敵の影にやる気を出すフォルティッシモだったが、音梨町に着いて早々受けた理解不明の攻撃に驚きを隠せない。



平凡な町に潜むものとは、一体なんなのだろうか…




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おー、何か懐かしい雰囲気。
まるで初期のブギーポップシリーズのようだ。表紙も珍しくブギーポップだし。って主役なんだから表紙になるとは当たり前っちゃ当たり前なんだけど。



最近のこのシリーズは、最後の最後にブギーポップが出てきて、極端な場合だとそこまで一人称で物語を牽引してきた登場人物すら預かり知らぬところで全てが無かったことになる、みたいなパターンが多かったような気がするからそのせいなのかなぁ。



あと、こういうジョジョ風に言うなら『近距離パワー型』じゃない敵の場合、最強のフォルティッシモさんはどうしても噛ませ犬風味な扱いになってしまうのが残念かつちょっと面白い。



こんな感じにフォルティッシモがいろんな形の闘いを体験して単純な戦闘能力以外の所で成長していって、最終的にイナズマにリベンジ戦を仕掛ける。っていうような長編が読んでみたくなったけど多分ないだろうな。



「ビートのディシプリン」も完結して、「ヴァルプルギスの後悔」もだいぶ佳境に差し掛かってるから、ぼちぼちこの本編でも大きな動きが期待できるので次の作品を心待ちにしたいと思います。