症候群 | 町に出ず、書を読もう。

町に出ず、書を読もう。

物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

入院中の子供を、点滴内に水道水を混入させたことで死亡させた母親が、「代理ミュンヒハウゼン症候群」と認定された事件が最近話題ですね。



確か以前にもニュースで見た気がします。どのみち希少な例ではあるんでしょうが。



ワイドショー等で何度も解説されているでしょうからどんな症候群なのか、とかは省きますが、幼児虐待が毎日のように行われている昨今、という状態があるだけに、何か釈然としないです。



代理ミュンヒハウゼン症候群の人は、子供を傷つけたり弱らせたりしますが、子供に対する害意はありません。殺してしまうなんて全く想定外。「愛する子供」と「注目されている今の状態」を両方失ってしまうわけですから、死んでしまうことはふたつの意味で不利益。死んでしまったとしたらそれはある意味やりすぎてしまったがための事故のようなものです。



そこが普通の幼児虐待とは違うところなんでしょうけど、でも最近の事件でも虐待で意識不明になったりした直後に、自分で救急車を呼んだりしてるケースも多いので、虐待した親たちの中にも苛立ちや少しの害意くらいはあったものの、殺意なんてないのだろうと思います。



ただ、力加減とか、自分の苛立ちを他人にぶつけない配慮とか、育児疲れを相談するご近所さん作りを怠ったこととか、そういう親として、大人としてのスキルが不足しているだけで。
子供を育てられるような人間ではなかったというだけで。



けれども、精神的な話を別にすれば、どちらも幼児虐待です。



動機や目的なんて、やられている子供からしたらどうでもいいことでしょう。



代理ミュンヒハウゼン症候群は、医学的に認められている精神疾患です。疾患である以上、法に問う問わないは別として、治療が必要なことは勿論分かります。



ただ、この疾患も最初はもちろんただ只の幼児虐待殺人親だと思われていたはず。



そこから多くの症例を研究して、この代理ミュンヒハウゼン症候群という概念が確立されているという今があるのは間違いありません。



だとしたら、暴力やネグレクトによって殺意も害意もなく子供を殺す親も、パチンコを優先して車内で子供を煮殺す親も、自宅の敷地から溢れんばかりにゴミを集める人も、周囲の迷惑を顧みずに野良猫に餌をやり続ける人も、ひょっとしたらこの先何らかの精神疾患だと言われる日が来るのかもしれません。



だからって法に問うな、と言っているわけではないですよ。



どんな状態だったのだろうと罪は罪。理や利で動いた訳ではないという点は普通の犯罪よりも高い危険(再犯という意味で)を伴うと思うので、勿論厳罰をもって処してほしいです。



そしてその後、しっかりと治療をして、その経過や結果が同じような犯罪の阻止に役立つのならそれが一番いいと思います。





結論として吐くような論はないんですが、何となく腑に落ちないのでだらだらと書いてみました。



おわり