14~26冊目
「三国志」(全十三巻)
北方謙三
まああらすじなんて今さら言うようなものではなく、そのまま三国志です。
別に原作(?)から大きく逸脱することもなく、登場人物たちもほとんどが死ぬべきところで死んでいきます。
主役も特に誰だということもなく、基本曹孫劉を中心に語られるんですが、他にも脇を固める魅力的な人物たちの物語もあり、架空のキャラクターたちも活躍しと面白さが途切れません。
誰贔屓かというと蜀贔屓になるんでしょうけど、あんまり露骨ではないので魏好きにも特に違和感なく読めると思います。
ただ、呉があんまり、特に周瑜が死んでからの孫権はあんまり魅力的ではなかったです。
北方さんといえば『漢(オトコ)』の物語が得意なかたなんで当然といえば当然ですが、全体的に文官よりも武官の方がかっこよかったですね。
特に呂布と張飛がもうかっこいいったらないんですよ。
この二人が死んでしまうところは感涙必至です。
あと、なるほどな、と思ったのが劉備軍が精鋭部隊だという設定。
関羽張飛趙雲の、死者を出すほどのスパルタ調練で少数ながらかなりの精鋭。呂布軍の本隊以外、同数の真っ向勝負なら敵なし。だけど、多勢に無勢な時はあっさり負けてしまう。
劉備が放浪しながらも生き残ってこれたのは、この軍のお陰なわけです。
確かにヘボい軍ならどこかであっさり死んでてもおかしくないですからねぇ。
関張趙の三人を古今無双の豪傑とするのはある意味お約束ですが、軍そのものの強さにまで言及したものは初めて見ました。
そして最後らへんは諸葛亮と司馬懿のバトル。
二人とも我慢に我慢を重ね、忍耐に忍耐を重ねて戦うわけですが、それがMかっこいい。
司馬懿なんて私生活でもドMなのでラスト数巻はその言動に大注目してしまいました。
それにしても何にしても、十三巻は長かった。
こればっかり読んでると他の読書に支障が出ると判断して、風呂本にしたのも原因ではあるんですが。
読み終わるのに数ヵ月かかってしまいました。
ただ、15~20ページくらいで場面転換があるので、刻んで読むにはもってこいの本でした。
「楊令伝」が文庫化したあかつきには、また風呂本として読んでいこうと画策中です。