86.「しずるさんと無言の姫君たち」上遠野浩平 | 町に出ず、書を読もう。

町に出ず、書を読もう。

物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

86冊目
「しずるさんと無言の姫君たち」
上遠野浩平




しずるさんシリーズ三作目。



前作が『密室』縛りだとするならば、今作は『姫』縛りです。



雪深い山中で見つかったにも関わらず、驚くほど軽装でハイヒールまで履いていた死体は「白雪姫」。



海辺で見つかった、腰から下が無い死体は「人魚姫」。



喫茶店に入ってきて座席に座ってから、誰も近づいていないのに知らぬ間に死亡していた事件は「眠り姫」。



竹薮の中で三本の竹に体を貫かれピクリともしなかった女性が、警察が駆けつけた時にはいなくなっていた「かぐや姫」。



そう、それぞれ呼ばれていた。



しずるさんが興味を持つかもしれない、と前もって事件の詳細を調べるよーちゃんだが、何が重要で何がそうでないかも分からず困惑する。



そんな中、しずるさんの転院話まで出てきてよーちゃんは大混乱。



それでもしずるさんは、今日も穏やかな口調で、真実を語ってくれる…。




…………………………




前作の「密室」縛りと比べると、だいぶ自縄自縛感は無くなっていて、あんまり余計なことを考えずに読むことができました。



ありえない話かと思ったら、意外と「それ以外考えられない」と納得してしまうオチになる。という手法は健在。



そんなんでいいの?とか思ってしまう内容も多少ありましたけど。それも先入観による盲点のひとつなんでしょうね。



一番シンプルだった「人魚姫」が好みでした。