企業がフリーキャッシュフロー(FCF)の確保を進めている、というブログを以前書きました。

最近、FCFの確保以外にも、M&Aに関連する財務政策の記事をよく目にします。


海外子会社利益の国内還流の減少や、DEレシオを改善して高格付を維持する、といった内容です。これは、将来の海外での投資に備え、海外子会社内で利益を留保したり、いざ大規模な資金調達が必要になった時のために、高格付を維持しておくものですニコニコ 


最近の円高は、輸出企業の海外製造比率の上昇を促すだけではなく、マーケットシェア拡大のための買収・資本提携も加速させるのではないでしょうか。期末に向けて、大型M&A案件が増えそうですねアップ


トレードファイナンス絡みのM&Aでは、BHPビリトンのポタシュ買収の行方が気になります。BHPビリトンは、新興国での食肉需要の急増を見込み、家畜用飼料のための化学肥料・カリウムの獲得に動いていると言われています。資源メジャーの当社にとって、食料分野でも資源の寡占を狙っているのでしょうプンプン


一方、カリウム輸入量世界第二位の中国にとって、カリウムの調達先確保は国の食糧政策を左右する重大課題です。中国中化集団(シノケム)がホワイトナイトとして、BHP提案への対抗策を検討していると伝えられています!!(Bloomberg ) 最近、資源外交の弱さが露呈したわが国ですが、資源確保の状況は、、、心配です。

17日、中国人民銀行は、対外貿易の人民元建て決済を拡大すると表明(Bloomberg )。昨年より、上海市や広州市などで試験的に取扱いを開始していたものを、大々的に推進することになりますえっ


貿易の決済通貨は、USドル、ユーロ、日本円の機軸通貨が主ですが、昨今は、人民元建てL/Cが徐々に見られるようになってきました。中国向け輸出量の増加、中国の経済的プレゼンスの向上によって、中国企業のバーゲニングパワーが高まり、中国企業にとって為替リスクの伴わない人民元建て決済のニーズは、益々増えていくと予想されます。


一方、決済通貨が人民元になると、輸出企業サイドに為替リスクが発生してしまいます。例えば、67万元の売買契約が成立し、2ヶ月のユーザンスL/Cで決済する場合、本日現在ではUS10万ドルの価値がありますが、2ヶ月後の為替相場によっては、US10万ドルを割り込む可能性もあります(もちろん、超過する場合もあります)。輸出企業にとっては、為替リスク対策がますます重要になるでしょう。。。あせる


それにしても、日本企業と中国企業の貿易決済通貨は何が使われるようになっていくのか、、、日本と中国の世界経済における位置づけと密接に関わっているようで、とても興味深いですニコニコ



東芝・日立製作所は2011年3月期に高水準のフリーキャッシュフロー(FCF)を確保する見通し、という記事がありました。東芝は、ウェスチングハウス買収により投資キャッシュフローが大きく増加した影響で、2007年以降、FCFがマイナスとなっていましたが、2010年3月期よりプラスに転じ、引き続きプラスを維持するようです合格


日本企業は、中国・インド・ASEAN市場への更なる参入のために、企業買収を加速させていくでしょう。今後のM&Aを見据えて、FCFの確保を進めているのかもしれません。FCFの捻出には、利益を増加させるほか、運転資金の削減も大きく寄与します。


運転資金の削減には、在庫、売掛、買掛の最適化によるキャッシュサイクルの短縮化が鍵アップではないでしょうか。トレードファイナンスの分野では、輸出債権の圧縮、輸入債務期間の長期化などの取り組みがあげられます。例えば、輸出債権を銀行へ売却し、買主の支払期日より手前で現金化して所要運転資金を削減する方法が考えられます。もし、買主の信用力が高ければ、自社の借入より有利な条件で資金調達が可能になるかもしれません。


このように、トレードファイナンスは、キャッシュマネージメントという点でより企業財務から切り離せない問題となってきているのではないでしょうか。モノの流れを追いながらも、企業の財務戦略の視点を忘れてはいけない、と思いましたニコニコ