うららかな春が、めぐり来ました。

久しぶりに桜を見たなぁと思っているうちに、花びらが散っていく姿ばかりを目にします。

“それを悲しまない人はいない。”
春の雨と桜を見て、詠まれた歌です。


春雨の降るは涙がさくら花散るを惜しむ人しなければー

古今和歌集より

人との関わりが移り変わる季節。

別れを惜しんで、
とめどない寂しさと対峙する人や

分かち合いたい人のもとを訪れ、
すっかり打ち解けた喜びなど

あちらこちらで耳にしているうちに、春の風が吹いて、桜の花も盛りを迎えていたようです。



今は人と会うことが難しい時代のなかで

すれ違ったり

あれほど傷つき、傷つけて
失われた日々もあったけど

水の流れのように清らかにしたいー。

その道が、どんなに長い道であろうと
自分自身の深い願いに光を照らすことを恐れずにいたいと思います。

人はたとえ何か他のことを考え、平気なふりまでしても、奥底で、ほほ笑み合うことを願うのではないでしょうか。



桜花散りぬる風のなごりには水なき空に波ぞ立ちける

そして宣言します。

これから先は、一人ではなく、全体として生きていくことを。

怖れを手放して、

この仲間の声に耳を傾けながら、
深く観て、調和できるように。

何があっても自分自身を守ることができるよう、
今ここにどどまる力を身につけていくことを。


だから、散る桜の花とともに祝福しよう。


「ありがとう。

寂しいときや不安になったら、
いつでも連絡してきてね。

また会える日を楽しみにしています。」


写真:蜷川実花さんの展を撮影。SNS許可を得ています。