シジュウカラが忙しそうに枝から枝へ飛び移ります。
コテージ型ホテル「フォレスト・ヴィラ」周辺。
2001年3月初旬の森の朝の光景です。
「巣作りをしてるんだ」。
長崎バイオパーク管理部の職員は、心を弾ませました。
月に1度、双眼鏡を片手にハウステンボス内に飛来する野鳥の観測をしています。
シジュウカラを肉眼で確認したのは、2001年に入って初めてです。
自然保護を呼びかけている園は、3年前から佐世保市内の小学生や家族連れを招いて、園の15カ所に巣箱を取り付けました。
クスノキの地上から約3メートルの場所です。
巣箱は、スギ材を利用。職員の指導で家族連れたちが作りました。
うち11カ所で、シジュウカラが巣として利用しているのを確認。
樹木の茂りが目立つフォレスト・ヴィラ周辺では、巣箱の中にヒナが育っていました。
オナガガモやキセキレイなど園がこれまでに飛来を確認した野鳥は、約60種類。
開園当時の2倍に当たります。
静けさの中、職員が耳を澄ますと、「ツーピーツーピー」「ツピツピツピッ」。
さえずりがなんともいえません。
園は、このテーマパークの着工前に1年かけて東京大の安岡正人教授(当時)らに委託して音に関する調査をしました。
野鳥のさえずりや虫の音、大村湾の潮騒など、四季折々に自然の作り出す音を重視したからです。
(1)風向きによって音はどう伝わるか(2)自然音を強調するために園の繁華街での人工音をどのようにコントロールするか(3)周辺住民への音への影響はどうか、などです。
この調査を基に、緊急時以外にスピーカーなど機械的電気的人工音をできるだけ流さないことや、園の象徴であるカロヨンの鐘の音もやわらかな音色で時を告げるようにしました。
また、園内を走るクラシックバスやクラシックタクシーなどの車両も時速20キロの速さを基本にし、騒音の少ないものに選定しました。
コブハクチョウが、抱卵し始めました。
ヒナの産声があがるのも間近です。
宮畑晋吾(naoyakiyohar-5)
参考:http://www.museum-japan.com/wbsj/